不可解な理由

「商圏の重複が少なく、合併効果を発揮できる」

三重県の桑名と松阪の二つの信用金庫の合併報道の中にあったフレーズです。

そもそも「商圏の重複が多ければ合併効果を発揮できる」と考えられるので、この理由は???です。

信用金庫の場合、地銀とは異なり、システムなどバックヤードのシェアード・サービスが効いているので、合併の効果は「本部機能と商圏のダブりに伴う営業店統廃合」のところぐらいしか現れてきません。

この合併効果 (プラス要因) と、合併による異文化を調和させるためのコストと時間 (マイナス要因) とを秤にかけて、前者が勝るようであれば、合併は正当化されるのです。

ただ、それぞれ「わが町の信用金庫」がなくなることで顧客との接点が薄くなることは心配です。いまや大きいことは良いことだとは思いません。

もしくは合併による資本余力をもって、単独の信用金庫ではできないような大型投資やリスクテイクの必要性があるという理由での合併も理論上は考えられるのですが、そういうケースには今までお目にかかったことはありません。

資本の毀損を合併で薄めるという実質的な救済事例は少なくありませんが、その場合には救済目的であることを明きらかにすべく、経営責任を明確にし、地域顧客の理解を得ることが前提となるでしょう。このことを曖昧にするようなやり方はこれから通用するとは思えません。

いずれにしても「商圏の重複がないので合併効果がある」ことの、私の理解を超えた意味を知りたいものです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする