公社はここまでやる! 民間もがんばれ!

板柳町産業振興公社「りんごワーク研究所」。この青森県板柳町100%出資の公社が、町の活性化の主役です。100%出資の公共セクターだというと、無駄遣いの箱物では?と想像する方もおられるかもしれませんが、まったく違います。

    厳選された地元の最高級素材()に付加価値をつけるべく商品開発をおこない、それらを業者に任せることなく自らの力で販売戦略を構築して、マーケティング活動を展開する事業体です。ブランド名はRingo Work。ボトルの形状、デザインにも高級品顧客を引きつける洗練さがあります。

Dvc00248  ターゲット顧客は大都市圏のハイエンド層。全国の有名百貨店や高級食料品店など100社以上の企業と取引関係を結んでいるそうです。

現在の町長さんが町の職員さんであった昭和の時代から東京の大手デパートに対して、勢力的に営業を展開、物産展などの機会も有効に活用し、いまや御中元・御歳暮の定番商品として定着しています。

    最近は海外販路拡大に積極的。香港を核に台北、上海でも「Ringo Work」のりんごジュースを見ることができます。中国での商標登録はおさえてあり、偽物が出てくる余地はありません。シンガポールでは日系デパートで買うことができます。

   りんごワーク研究所は地元のりんご生産者から一般買取価格の3倍から5倍の値段で買い上げるそうです。地元生産者の取り分を増やしてあげること。公社から見れば高コストになりますが、高付加価値商品として加工して、大都市圏で売ることで採算ベースに乗るわけですね。

    施設を御案内いただいた所長さんによれば、昨年の青森県のりんご生産高は例年と比べるとかなりの減産となり、生の高級りんごが高値をつけたため、生産者が公社に商品を回してくれないのではないかと心配していたとのこと。

ところが、生産者は毎年、高い値段で購入してくれる公社の常日頃の姿勢を評価し、通常通りの対応。まさに生産者と公社との信頼関係の賜物。

りんごワーク研究所で働く人は70数名。季節パートさん等を含めると100名を越す雇用を抱えています。おそらく板柳町最大の雇用事業体と推察されます。

   地域生産者を潤し、さらには新規雇用までも作り出す。素晴らしいですね。やろうと思えば民間企業でも某協同組織でもデキルことです。理屈では。要は「本気度、体を張ってやる気概があるかどうか」ですね。

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