灰も観光資源

 夕刻の便で鹿児島に入ってきました。

 空港から市内へのタクシーで運転手さんから、桜島の火山灰の苦労話を聞きました。

 鹿児島では朝の挨拶は天気だけではなく、風向きが話題になります。鹿児島市は桜島の西に位置しますが、夏場は東からの風が多く、灰は鹿児島市に向かってきます。

 今年は桜島の爆発回数が多く、1000回を超えた昨年の記録を更新しそうな勢い。鹿児島市も灰に見舞われる日も少なくありません。

 大爆発で火山灰の量が多い場合、地元の人たちは「ドカ灰」(どかばい)と言います。運転手さんによれば、すでに今年は3回のドカ灰があったそうです。

 私も一度だけ遭遇したことがありますが、低気圧が突然来たような錯覚に陥りました。あっという間に真っ暗になるのですわ。実にびっくりしました。おおげさな表現かもしれませんが、「この世の終わりが来たのではないか?」

 地面に落下すると、何事もなかったように、もとの明るさを取り戻します。明るさは戻りますが、下を見ると一面に濃い灰色のものが展開していました。

 雨の中での大爆発は、「ドカ灰」混じりの黒い雨をもたらし、それが車のフロントガラスにへばりつくと前方が見えなくなり、停車を余儀なくされるとのこと。安易にワイパーを使うとガラスに傷がつきかねず、始末が悪いようで。

 西南の役の最終決戦の地となった城山にある展望台では、桜島から吹き上げる噴煙に観光客たちが歓声を上げます。「今日は噴煙が高くあがっていて良かったね。ラッキー」などといった声が聞こえてきます。

 最近は、鹿児島市の観光ポスターの桜島の姿も、”噴煙たっぷり目”のものになったようです。


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