経営理念から乖離して生き残れるのか?

「この会社、若い人がどんどん辞めているらしいですね」

ある地方都市でタクシーに乗っていた時に、四つ角の大きなビルを指差すドライバーさんから突然言われて、なんとも言えない気持ちになりました。

別な地方都市で聞いた話によれば、地元の市役所や商工会議所の某セクションはある企業からの転職者で占められているとのこと。

どちらのケースも地方銀行の早期退職者の話です。

実際、地域金融機関の若手職員の早期退職者が急増しているようです。

辞められた側の金融機関の言い分は「最近の若者は我慢が足りない。やりたいことをやらせてもらえないとすぐに辞める。」ですが、30年前に筆者が36歳で転職した理由は、かなりこれに近いものだったと思います。

ところがこの話、辞めた側の理由 (筆者のところにも相談が少なからずあるのですが) とはかなりの温度差が感じられます。

すなわち、「地域のために、お客様のために」という地域金融機関の経営理念 (これに共感するから入社する) と、現場の日々の仕事 (顧客ニーズに合致していると思えない商品サービスのパワーセールス) との「ギャップ」が大き過ぎること、それが早期退職者が急増している原因であることは間違いありません。

そもそも金融業はサービス業です。とくにサービス業だけに限るものではありませんが、企業の経営理念と現場の日々の業務が大きく乖離しているような業種や事業者は聞いたことがありません。そのような経営を続けていたら、顧客からそっぽを向かれて潰れてしまうからです。

ところが、驚くことに多くの地域金融機関ではギャップは放置されたままです。

金融行政方針では「地域顧客が顧客本位か否か (経営理念と現場の行動が合致しているかどうか)という視点で金融機関を選択する」ための可視化やインフラづくりを金融庁が行うと明言しています。

真の意味で(金融機関の優越的濫用のもとではなく)、地元顧客から選ばれる金融機関に生まれ変わらない限り、早期退職の流れは止まらないでしょう。

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