プリンシプルの土台にはファクトがある

そろそろ平成29年度の金融行政方針が発表されそうな気配です。

先週、先々週と一部メディアにその内容らしきものがリークされていましたが、今度の金融行政方針は従来にも増して、シャープなものになるものと思っています。

というのは、ファクトの集積から生まれるものだからです。

金融仲介の改善に向けての検討会議に出席しているのですが、議論を行う際、事務局の方で準備されたデータはすべてファクトの積み上げです。金融機関サイドのデータだけでなく、直接ヒアリングやアンケートから抽出された中小企業の声などがファクトとして詰まっています。

さて、平成27年度 / 平成28年度の金融行政方針で明記された地域金融改革の内容は、シンプルでわかりやすいと思います。プリンシプルがしっかりと書き込まれているからです。

ところが金融機関側の理解度は十分とは言えず、誤解を生んでいることは否めません。遺憾ながら行政サイド(金融庁の内部、財務局)においても同様の問題が発生しているように思います。

その理由は「金融改革の”全体像”が見えていないこと」だと考えます。金融庁からの個別の情報発信は十分なされており(ホームページにアップされています)、これらの情報を統合すれば全体像は明らかになるのですが、金融機関はそういう作業を怠り、キーワードだけを拾い出し、それに対する対処策だけを考えています。キーワードへの対処となったとたんに、プリンシプルベースからルールベースに変わってしまいます。

日本中が「全体像」という「ジグゾーパズル」から個別”パーツ” (キーワード。例として事業性評価、ベンチマーク、fiduciary duty、日本型金融排除、金融機能強化法、統合合併、サービス業の生産性向上、経営者保証ガイドラインなどなど)だけを切り取って、それぞれのパーツを闇雲に追いかけています。パーツへの対応だけだからルールベースに陥っています。

平成29年度の金融行政方針では金融改革の「全体像」を示すことでルールベースに陥らないような配慮(過保護とも思えますが)が必要かもしれませんね。


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