いつもいうことですが、大きいことは良いことではありません。広域化すると弊害の方が大きいと思います。
地域金融機関のことです。
昨日、地域に強い思い入れをもつ企業経営者 Xさんと話をしていてこのことを改めて痛感しました。
地域における若手経営者のリーダーである Xさんの地域の信用金庫は不動産取引で大失敗し、他の信用金庫に吸収されて広域化してしました。
昔はそれなりの都市には信金や信組がありました。
26日のブログで書いたように、バブル以降、多くの信金や信組は消えました。本来の経営理念である地元顧客との取引の深掘りを怠り、身の丈に合わない有価証券運用や不動産投資などで一攫千金を狙ったことが原因です。
集約され合併したことで、地域との接点が希薄化しました。
Xさんの地域は元気な事業者数が多いので、他地域からたくさんの金融機関が入ってきています。
ただ、いくら金融機関が増えても懸念はぬぐえません。わが町の金融機関に対する安心感とは違います。
業況が厳しくなった時に、経営改善の支援や事業再生目線でサポートしてくれるのだろうか、端的に言えば逃げない金融機関なのだろうか。
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昭和20年代のことです。
戦後の復興期で全国から集められた資金は、中央の重厚長大産業に集中投下されました。
お金がまわってこない中小企業の地域は商工会などの肝いりで、わが町の地域銀行や協同組織金融機関を作りました。
半世紀以上が過ぎて、いまはお金はジャブジャブです。
でもレイジーバンク病が蔓延して、業況の良いところにしか貸しません。悪くなれば手のひら返しで逃げる。債権回収には熱心でも、手間のかかる経営支援や事業再生となると腰が引ける。
お客の本来のニーズに応えているとは言えません。
新たに、わが町の金融機関を作ることも考えるタイミングかもしれません。
形態は中途半端な銀行ではなく、協同組織金融機関です。
橋本さんの新しい本には、グラミン銀行が金融排除層の受け皿になるべく、近々上陸との話がありますが、どのような形態となるか興味津々です。
「地域金融機関は統合合併でスケールメリットや効率化を追求すべし」といういう思考の人は、プロダクトアウトのトランザクションバンキングに汚染されているとしか思えません。
地域を面で深掘りし、リレーションシップバンキングによって、わが町から日本型金融排除を撲滅することを目的に、同一地域内で合併統合するというのは大歓迎ですが、そういうケースには滅多にお目にかかることはありません。
信用金庫や信用組合の減少トレンドが反転するのはいつのことでしょうか。