業務提携の中身を精査しよう

新聞報道によると、本日、フィデアグループ(荘内銀行と北都銀行)と東北銀行の業務提携が発表されるようです。

業務提携や連携には、大きく分けて、①「コスト削減」と②「粗利益の増強」の目的があります。

① は収益に直結した現実的な議論になるのですが、② はエールの交換のようなフワフワとしたところがあり、イベント的なアドバルーン効果はあるものの収益への貢献となると脆弱なケースが多いようです。

「商談会や取引先を対象にしたビジネスマッチングを共同で開くほか、事業承継へ互いの取引先の中から後継者候補を紹介する。農業ビジネスや再生エネルギー関連での協調融資も手がける。」(日本経済新聞)

新聞報道を見る限り、フィデア-東北の3行提携は ②「粗利益の増強」の色彩が強いと感じます。

私が昨今の地域銀行の統合合併 (除く救済目的) ・業務提携の中で成功事例として位置づけているCMA (千葉銀行、武蔵野銀行の包括業務提携)は、 ① と ② のバランスが取れており、① による収益面での効果がすでに出てきていると言われます。

① は本気でやろうとすれば難易度が高いのですが、汗をかいた分、きちんと収益面で効果が出ることは間違いありません。

ただ、システム、事務周りなどのバックヤードの連携は、当事者が多ければ多いほど難易度が増す傾向にあります。

そういう意味からも、相対の連携であるCMAにはスピード感があり、その実効性が高さが裏付けられるのです。

フィデア-東北の3行連携で ① を進めようとすれば、現実問題として、

「東北銀行がバックヤードのどれだけの部分をフィデア標準に合わせることができるか」

に尽きると思います。

収益環境の厳しい中、東北銀行にはその覚悟はあるのでしょうか。

今回の報道に接し、地域銀行の業務提携や連携を評価する場合、①か②かをしっかりと見極めることが非常に重要と改めて確認しました。

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