「地域金融機関が本物か、偽物か」の差は、取引先企業の経営改善、事業再生の支援をきちんとやるかどうかにかかっています。
業況が悪化した地元企業の立て直すことに全力投球する金融機関がある一方で、不芳になったら足を運ばなくなり、手のひら返しで資金供給をストップし回収モードになる金融機関も少なくありません。
後者は典型的なレイジーバンクです。
最近しばしば遭遇するのは、金融機関 X の支援によって経営改善・事業再生が軌道に乗ってくると、それまで距離を置いていた金融機関 Z がそのタイミングを待っていたかのようにしゃしゃり出てきて、低金利で X の融資を肩代わるという話です。
「鳶が油揚げをさらう」ような話を聞くと不快感を拭うことができません。恥を知れです。
金融機関 X にしてみれば腹立たしい話なのですが、この手のケースでは往々にして金融機関 X の詰めの甘さが目立ちます。
多くの場合、営業店に任せっきりとなっており、金融機関 Z の肩代わり攻勢の際の防衛交渉が経理担当者との間だけで行われているのです。敗色濃くなってから役員が乗り込んで再交渉に及んでも時すでに遅し。
そもそも経理担当の大事なミッションは調達コストの削減にあり、「金融機関 Z との取引によって役割を果たしている (何が悪い)」と主張するでしょう。
それでは企業の経営者とのコミュニケーションはどうだったのでしょうか? それ以前に企業経営者と金融機関役員との間の信頼関係は構築されていたのでしょうか?
金融機関 X の役員レベルと企業経営者との間で 日頃のコミュニケーションと信頼関係があれば、金融機関 Z を蹴散らすことは難しくないと思うのですが、、、
さらに言えば、企業経営者の方も金融リテラシーを向上させていかねばなりません。
経営改善、事業再生局面において、金融機関 X は企業経営者に対し、相当厳しい注文をつけます。それができないようだと、中途半端な支援であり、真の顧客本位ではありません。
このことを理解できる企業経営者 (こういう経営者はリレバン社長です) であれば良いのですが、実際は金融機関の苦言が真に顧客のためを考えてのものであっても、感情的なシコリの発生可能性を打ち消すことはできません。油揚を狙う鳶 (金融機関 Z ) は、甘い言葉でここにつけ込んできます。
甘言に乗ってしまうようではトラバン社長です。
ところが金融機関 Z は企業の業績が悪化すれば真っ先に逃げる輩であり、そのときに気づいてもあとの祭りとなりかねません。
企業経営者は、僅かな借入金利の差に目がくらみ、業況のアップダウンに関係なく寄り添ってくれる金融機関 X と袂を分かつことの愚かさを肝に銘じるべきです。
鳶の餌食 (えじき) にならないためにも。