SDGs と金融行政方針

「企業・経済の持続的成長と安定的な資産形成等による国民の厚生の増大がもたらされることが重要であり、金融庁としては、このような姿の実現を目指し、金融行政を行っていく。」

森長官の初年度、平成27年度 金融行政方針の一丁目一番地 (冒頭の「金融行政の目的」の箇所) に謳われているメッセージです。

この目的に向けて、この3年間にわたり金融庁がとくに注力したのは、「地域金融」と「資産運用」の2つの改革であったと考えられます。

2つの改革は、3年間で立派な枠組みができたものとワタシは高く評価します。

あとはそこに魂をいかにして入れて、PDCAをしっかりと回していくかというステージに入っているものと思います。

さて、

ワタシは「地域金融改革」と「資産運用改革」という2本柱を有機的につなぐのは SDGs だと思っています。

SDGs (Sustainable Development Goals) というのは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標ですが、この思想は、地域金融改革の根幹となるリレバンにも、資金運用改革の土台となるスチュアートシップコードにも内包されており、何も新しいことではありません。

国連サミット採択だからといっても、新しく輸入された概念ではないのです。

地域金融機関が、顧客本位の持続的なリレバンに取り組むことは、 SDGs の考え方に合致しており、そういう姿勢の地域金融機関を株式市場においてアセットマネジャー (スチュアートシップコードに comply している) たちが SDGs の視点で評価すれば、上場企業のみならず 380万社の中小小規模企業 (非上場) にまで SDGs が浸透することとなるでしょう。

残念ながら、平成29年金融行政方針に SDGs のことが記載されていることを、ほとんどの地域金融機関は認識していません。

「金融庁の自身の改革」という項目の中に記載されているので、地域金融機関には関係なかろうと、読み飛ばしているのではないでしょうか。

30年度版の金融行政方針には、「地域金融」、「資金運用」の項の “ど真ん中” に、しっかりと書き込んでいただきたいものです。

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