自己資本比率よりも、リスク資本の配賦と使用量 (上)

金融機関の健全性の指標として「自己資本比率」は非常に重要であることは言うまでもありません。

今週から来週にかけて、金融機関の先期の決算発表が行われるのですが、自己資本についての記述が漏れることはありません。

ところが、その資本がいかに有効活用されて、リスクに見合った適正な収益につながり(株主が注目するところ)、かつ地域顧客のためにもなっているか (顧客本位の経営かどうか) 、となるとデータを探すのに苦労します。

自己資本比率はどこの金融機関でも開示していますが、資本の配賦額 (リスクに対する)とリスク資本の使用状況 (リスクごとに) となると分厚いディスクロージャー誌をひっくり返しても掲載されていない金融機関が少なくありません。

リスク資本を地元の信用リスクにどれだけ注ぎ込み、地域経済の再生や活性化につなげるかというところで、地域金融機関の真価が問われるのですが、この数値の開示が任意であるところに行政サイドの甘さを感じます。

ワタシはこれらの数値を開示することは、単に自己資本比率を出すこと以上に意味があると思っています。

自己資本比率云々で議論が止まっているのは不良債権問題で苦しんだ時代の遺物だとすら感じています。

検査マニュアルを廃止すると同時にリスク資本の配賦と使用状況の開示を義務づけるべきではないでしょうか。

とりわけ、地元の信用リスクへの資本配布と使用量は地域に対するコミットメントの証 (あかし) ですから、当然だと考えます。

《つづきは明日》


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コメント

  1. 即身成仏 より:

    地域金融機関ならば、自己資本比率の分子のうち、地元の信用リスクがどれくらい占めているかの割合などを自己資本比率とあわせて、開示すべきなのでしょうね。

    その上で行政が早期是正措置命令発動水準にまで自己資本比率が至った場合に、上記比率が高いところについては、(地元のために身を削ってきた姿勢から)手心を加えてくれたりすると、本当に地域から歓迎される地域金融機関が多くなるように思えます。

    手心はダメなんでしょうかね?

  2. 旅芸人 より:

    即身成仏さま、

    金融庁は手心を加えないでしょうが、そういう金融機関を顧客は放っておかないでしょう。

    金融機関を選ぶのは顧客です。

    顧客の金融リテラシーをアップさせることは必要ですが。