日豊アライアンス

銀行が自らチキンレース(日経新聞)と称する、長崎の統合合併の報道に追いやられた感があるのですが、非常に興味深いニュースが入ってきました。

九州の第二地方銀行である、南日本銀行 (本店鹿児島市)、宮崎太陽銀行 (本店宮崎市)、豊和銀行 (本店大分市) の『販路開拓支援に関する業務提携』です。

この3行はJR日豊本線でつながっていることから、日豊アライアンスということになります。

3行とも金融機能強化法による公的資金 (地域活性化を目的とする) で資本を充実していることもあり、数年にわたりフォローしているのですが、この業務提携は単なるビジネスマッチング連携の域をはるかに超えています。

南日本銀行の販路開拓支援はWin-Win Netという名称で知れ渡っており、公的資金導入行の中でも好事例として高い評価を得ています。

南日本銀行に追従する形で、豊和銀行が同様のビジネスモデルを採用することで息を吹き返し、さらには宮崎太陽銀行もという流れです。

ワタシは高齢者に投信や保険商品を売ることよりも、地元顧客の商品サービスの販路拡大の支援を行うこと (顧客との共通価値の創造です) を優先すべきと思っていますので、南日本銀行のビジネスモデルが広がっていくことを強く望んでいました。

ちなみに、この3行は基幹システムも一緒です。

顧客に債権譲渡を求めてまで大きくなりたい長崎と、顧客に寄り添い、地道に顧客の売り上げを増やすことこそが銀行の利益の源泉と考える日豊アライアンス。

後者の方が適者生存の道を歩んでいると思います。

「3行は経営統合は今後も志向しないとしており、ともに独立経営を堅持するとしている。」(日経新聞 九州版)

ワタシはこれが正解だと考えます。


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コメント

  1. ミュウミュウ より:

    私も日豊アライアンスに大拍手を送りたいと思います。本来どんなことがあっても地場の顧客を守るべき地方銀行が、十八、FFGが前代未聞のほぼ県全体に渡る債権譲渡(しかも借換サポートという耳ざわりのいい言葉に置き換えるおまけ付きで)を実施するという記事と比較すると、誰がみても日豊アライアンスの方が顧客本位である事は明らかだと思います。仮に債権譲渡で統合が実現して

    も統合後の銀行が本当に顧客の支持が得られるのか大変疑問です。因みに西日本新聞は日豊アライアンスと十八、FFGの記事はほぼ同格の扱いでした。

  2. 旅芸人 より:

    ミュウミュウ様、

    コメントありがとうございます。

    西日本新聞もそうでしたか?

    長崎の件で「前のめり」になって、公取委 vs 金融庁を打ち出した記事を発信し続けている某紙以外は、どこのメディアも長崎問題をクールにとらえていると感じました。

    顧客を放置して、統合合併を煽るパターンは陳腐です。

    あるメディア人からは「人口減→統合合併」というワンパターンの思考回路は切り替えないといけないと思うとのメールをもらいました。少しづつ報道が正常化し始めています。

  3. 鮭介 より:

    たった2000kmの日本列島と雖も、エリアの需要は違ったものでしょう。地銀や生保といったリーテイル業態はまさに貴殿のご指摘の通りだと思います。地域特性を継続的に大事に育てる姿勢が大切ですね。地域を掴んでいるからこその役割を果たしてもらいたいです。

  4. 旅芸人 より:

    地域密着型金融が経営理念であり、それこそが使命の地域金融機関が、合併統合で拡大を志向する理由が今もって理解できません。スケールメリットはバックヤードのシェアードサービス (連携、業務提携) で対応すべきです。資本を一緒にするのは最後の手段 (救済局面) です。なぜこのことが分からないのでしょうか。かつては統合合併はレピュテーション・リスクと表裏一体でした。健全行同士の合併統合という流れに先鞭をつけた?銀行の元役員として猛省しています。