過分な評価です

去る4月19日に行われた 日経金融シンポジウム2018 で、基調講演を行いました。

https://www.nikkei4946.com/seminar
/seminar.aspx?ID=2294&TYPE=seminar

このたび事務局の方からアンケート結果を教えてもらったのですが、

5段階で「非常に良かった」50%、「良かった」46.3%と過分な評価でホッとしました。

相当、思い切ったことを言ったのですが、それが良かったのかもしれません。(自画自賛ですが、苦笑)

当日の基調講演の際の「手元メモ」は以下の通りです。

地域金融、中小企業金融の旬な課題を列挙した上で、ワタシなりの意見を出したつもりです。

※※※※※※※※※※※※※※

★日経金融シンポジウム (4月19日)

(1) 地域金融の現状分析

– マイナス金利などでプロダクトアウトは四面楚歌
– 他業種、AIフィンテックの台頭
– どうすれば生き残れるか→ 顧客のニーズに応えること (経営理念に書かれている、銀行法第1条)、従業員が生き生き働く、CS とES

(2) 金融行政の鳥瞰図

– 顧客本位の持続可能なビジネスモデルがポイント
– h29金融行政方針では将来の健全性に向けての深度ある対話
– 曼荼羅図と顧客本位の4次元連立方程式の解を解くことで「将来の健全性」を確保

(3) 源流はリレバンにあり

– リレバンとは
– 財務支援と本業支援の両輪、ガイドライン変更、貸し手責任から傍観者になるなへ大転換、真の資金需要を作る

(4) 地域金融経営のキーワード

– フィデューシャリーデューティー
– 共通価値の創造
– KPI、ベンチマーク
– パブリックプレッシャー: 選ぶのは顧客、h28金融行政方針でも金融庁は黒子と、捨てられる銀行がベストセラーに、「不良債権はない・コンプラ上問題はない・ビジネスモデルは見解の相違」で突っぱねられなくなる、中小企業は顧客本位の金融機関のあるところに本社を移したら?
– 日本型金融排除とレイジーバンク; ①無借金会社6割というが企業間信用と経営者のカードローン、リスクを取らず与信費用を減らして決算をする銀行の愚、②380万社の中小小規模企業のうち4から5割は単年度赤字、うち40万社はリスケ先、③ミドル層はかつてのミドル層にあらず→ 事業そのものはプラスかも、債務のリバランスで資金繰りは楽になる(国内銀行の法人企業向け貸出の93%は長期。2002年の検査マニュアル別冊が長期シフトの元凶だったが、マニュアルの方は2015年1月に是正ずみ)
– 事業承継と経営者保証ガイドライン:「2025年には、127万社の後継者未定の廃業予備軍がある」→ 経済産業省の推計、事業承継をフィービジネスととらえることが間違いの始まり

(5) いまやるべきことは?

– ビジネスモデル云々をいうのは周回遅れ。美辞麗句、箱物組織、アリバイ作りの連携協定でお茶を濁す状況ではない、属人的・イベントからの脱皮、いかに「組織的継続的」なものとするか
– 経営理念と現場の活動を一気通貫
– 業績評価目標を変えれば良いという話ではない、経営理念通りの行動によって成果を出せる支店長の頭数
– 現場が動けるためのインフラ作り、浜松信金がやったこと
– AIフィンテック、異業種進出の脅威の中で差別化のポイントは「ヒト」
– 大事なのはヒューマンアセットマネジメント、最重要の資産、人材流出をもっと真剣に考えよ
トップの問題、ムラ社会の内向きな経営陣、ガバナンス、ダイバーシティ、トップが変わって良くなった、悪くなった
– 成果の出ている金融機関はある、トップの決断次第

(6) 地方創生への期待

– リレバンの面的展開が地方創生、イベントや提携は違う、地域のGDPを増やすこと
– 三位一体、稚内の事例
– 事業再生がポイント、事業再生の取り組みは二極化、
– 新陳代謝よりも再成長
– 温泉地を見れば真贋が判明
– 声のでかい抵抗勢力、利害調整機能は金融機関に、観光庁での経験

(7) 地域金融機関の再編をどう考える

– 再編合併は顧客本位の持続可能なビジネスモデルを作り上げるための手段であり、目的ではない
– 資本統合ならではの施策を出すべし、それ以外は連携や業務提携でできること
– そもそも資本の未使用部分は大きい
– 合併は異文化の激突、スピード感が求められるのにムダな時間とエネルギーを浪費。合併コストも馬鹿にならない。
– 救済合併や大が小を飲むケースぐらいしかないのでは? 対等は厄介である
– これからはダウンサイジングとアライアンスが主流になる (資本と顧客接点以外はシェアードサービス)、千葉銀-武蔵野銀が好事例
– 合併統合とビジネスモデル構築の二兎を追うのは至難の技、プロダクトアウトでスケールメリットや効率化を目指しても苦労の末に統合合併した時にはAI フィンテックの軍門に下る。合併よりもビジネスモデルの構築を優先すべき

(8) ESGは地域金融の原点回帰

– ESGと顧客本位の持続可能なビジネスモデルは酷似
– 直接金融 (ROE一辺倒からESGへ) から間接金融への展開
– 地域金融機関には2つのESGがある
– これからはレイジーバンクは株式市場を言い訳にできない

(了)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. ミザール より:

    今金融機関がとるべき方向性のポイントが的確に示されたレジュメです。

    参加できませんでしたが、ここに示されただけで充分参考になり、今後の指針となります。

    非常に良かったが80%以上なければおかしい。

  2. 旅芸人 より:

    ミザールさん、

    コメントありがとうございます。

    お役に立てて幸いです。