地域金融機関の早期退職者が希望する再就職先リストの上位にコンサルティング会社が登場します。
彼らがイメージするコンサルタント業務というのは、企業や金融機関などの経営戦略に関わるものではないかと推察します。
そもそも経営戦略コンサルタントは、現場のフィールドワークを地道に積み上げていく「職人」の世界です。(机上で数字をひねくりまわすだけの経営戦略コンサルタントもいますが)
この分野は人材の量産ができるものではないと、ワタシは思っています。
大手コンサルティング会社において経営戦略コンサルタントは少数派であり、桁違いの大人数を投入できるシステムコンサル業務と比べると売上高が小さいことは否めません。「システム作業員とは違う」とツッパっているものの (ワタシはそうでした) 、肩身が狭いのが実態です。
一方、経営戦略に特化するコンサルティング会社となると小規模なところが多く、地域金融機関からの転職者を受け入れるキャパシティは限られています。
したがって、地域金融機関の脱藩者がコンサル業界を目指しても、一部の例外を除けば、システムコンサルティングの作業員の道しか開けておらず、新天地にたどり着いたとしても、長続きしないようです。
翻って、
いま地域金融機関に求められているのは、まさに地域企業のための経営戦略コンサルティング機能と考えられます。
地域金融機関が組織的継続的リレバンを追い求めていけば、地域における経営戦略コンサルティング会社の側面を持つ組織形態になるでしょう。
先進的な地域金融機関では、そういうところが出てきています。これこそが地域金融機関の主流となるであろう未来形です。
そうとなれば、早期退職は「短気は損気」。
地域金融機関の経営トップが覚悟を持ち、組織的継続的なリレバンに取り組む、それが本物と現場に伝われば、早期退職の雪崩現象は止まります。採用にも苦労しません。
経営トップの決断、それだけです。
コメント
自社(コンサルティング会社)の中途採用において、時々面接を担当することもありますが、少し前に金融機関に在職中の方(30歳前後)が応募をしてこられました。曰く「中小企業者の経営課題解決に貢献したい!」と。
それに対して「我が社のクライアントは大企業が中心。その成果のためにサプライチェーンを是々非々で切り替えたりすることもある。結果的に中小企業者を苦しめることも皆無と言えないが、それについては如何?」と質問したところ、狼狽した挙句、「大企業の経営課題解決にも貢献したい…」。(残念ながらこの方とはご縁がなかったということになりました)
中小企業者に親身に寄り添い、二人三脚で経営課題の解決に身を捧げたいのであれば、多胡先生の言われる通り、大手コンサルティング会社ではなく、地域金融機関を選ぶべきでしょうね。(但し、レイジーバンクではない金融機関を選別できることが大前提ですが)
Hさん、
大手コンサル会社の方の貴重なご意見、感謝します。
システム作業員になる覚悟がなければコンサル会社に転職しても無理ですね。
地域金融機関に残留する方がまだまし、、、
残念ですがそれが現実かと。
ただ、地域金融機関はボトムアップでは変えられません。経営者の責任は大きいのですが。