3年経っても変わりようがない

8月も今日で終わり。

「今年は例年にも増して時の経つのが早い」と毎年、言っていることに気づきます。

過去に書いた拙稿を整理する中で、3年前の8月に「地域の魅力研究所」で発信した地域金融機関の統合合併に関するニュースレターを改めて読み直してみました。

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2015年8月

第4回 じみ研ニュースレター
「地域金融機関の連携、経営統合、合併と地域創生」

地域創生の議論が活発に行われています。その中で地域金融機関のリーダーシップが改めて問われています。

以前より、我々、地域の魅力研究所は、設立当初より地域金融機関が持つ地域屈指の人材と情報力に注目し、 地域金融機関との連携を深めています。

さて、去る 6 月 16 日、金融庁の金融審議会において、地域の魅力研究所の代表理事である多胡が、地域銀行のあるべき姿と地域銀行の連携や経営統合に関し、プレゼンテーションをおこないました。本稿はその内容の一部抜粋 したものです。

そもそも地域銀行のミッションは、それぞれの地域顧客に良質の金融サービスを提供することです。たとえ採算面で厳しくても、地元である以上、過疎地の顧客を見捨てることはできません。

とはいえ、地域銀行の厳しい収益環境を勘案すれば、規模のメリット追求と効率化から逃げることはできないことも事実です。規模と効率化の終着点は「合併」ですが、一つの組織で規模が大きくなり広域化すると、非効率で不採算の 過疎地が取り残されるリスクが高まり、地域銀行の本来のミッションが果たせなくなりかねません。「合併」が成り立つの は、以下の 3 つのパターンに限定されると考えます。

(1) 地域が完全に重なっているケース (たとえば、西日本銀行と福岡シティ銀行のケース)、

(2) 地域銀行が単体では地域顧客に良質の金融サービスが提供できないような苦境に陥っている救済型、

(3) 地域銀行が当該地域での存在感が小さく、地域顧客に対する影響が大きくない場合、

したがって、巷間言われる「スーパーリージョナルバンク」構想、すなわちそれぞれの”地域において存在感のある地域 銀行同士”が、地域をまたがって広域合併するというコンセプトは、現実離れした空論なのです。

ミッションを果たしつつ、規模の効果と効率化も合わせ達成するために、各地域銀行が昨今すすめている現実的な戦略は「業務提携」と「シェアードサービス(システム統合など)」であり、これらは総称して「連携」と言われています。この連携は広域化しており、いまは「広域連携」が主流となっています。

「連携」から一歩踏み込んだのが、持株会社形式の「経営統合」です。「経営統合」は「資本統合」に他なりません。 実を言いますと、この資本統合効果を勘案しなければ、現在の地域銀行が考えそうなほとんどすべてのことは「連携」で 十分にできることなのです。何もそれぞれの銀行の株式を上場廃止して、コストをかけて持株会社を作る必要はありません。

「資本統合」のメリットはなんといっても、持株会社傘下の子銀行単体の資本力ではできないようなダイナミックな投資やリスクテイクを、統合された豊富な資本によってできることです。

地域創生のメインプレイヤーである地域銀行は、地域 事業者の成長・再成長、また新規創業などを財務面・本業面で積極的に支援することが求められています。そのための リスクバッファーである資本のさらなる充実が必要、このように判断する銀行経営者は「経営統合」の道を選ぶでしょう。

(了)
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世論は、この3年間で大きく変わったところと、まったく変わっていないところとがあるようです。

ワタシ自身は変わりようがありません。

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