昨日は金融庁において、「融資に関する検査・監督実務についての研究会(第2回)」に出席しました。
https://www.fsa.go.jp/singi/yuusiken/
siryou/20180910.html
来るべきポスト検査マニュアル時代における金融機関の融資の方向性を議論する場であり、遠藤長官を始め金融庁幹部の揃い踏み、多くの傍聴者 (メディア等) で会場が埋め尽くされていました。
今回は第二地方銀行協会と信用金庫業界のプレゼンテーションと、金融庁が各地域金融機関にヒアリングした結果をもとに、融資の貸倒引当金についての議論となりました。
画一的ではなく、地域の特性等に応じた引当基準を、合理性、透明性、継続性を前提に導入すべきとの、金融機関の意見にはまったく違和感ありません。方向性はこのようになるものと思います。
ただ、ルールベース (画一的) でないと動けない金融機関 (そんなことでは困るのですが) に対しては、ミニマムスタンダードを用意する必要があるとも感じました。
気になったことがあります。
第1回研究会 (ワタシは所用があり欠席しましたが) では、資金使途 (運転資金、設備資金、資本性融資など) に応じて引当基準に弾力性をもたすべきとの意見が出ていました。
資金使途に応じた個別融資ごとというのは金融検査マニュアル以前の姿です。
債務者区分、つまり融資は債務者ごとに同一基準というのはここ20年の話なのです。
資金使途に応じた引当というのは、メインポイントと思うのですが、驚くことに昨日の金融機関のプレゼンの中には一切ありませんでした。
「長期融資の比率が圧倒的に高く、資金使途が混在している状況を、まずは解決することが先ではないか。『引当基準に自由度を』と主張する以前に、顧客の資金使途に合致した融資形態に戻すのが先ではないか。」
私の発言です。
事業が黒字であっても、長期借入金の約定弁済額で赤字となっている中小小規模企業が多いことを放置していることへの苦言です。
金融機関側からは「この点については認識しているし、着々と改善している」
との説明がありましたが、
中小企業との接点が深い 森俊彦委員から、
「中小企業側の認識はそうではない。」
と厳しい指摘がありました。
多数のメディア関係者が傍聴するオープンの会合でしたので、パブリックインフォーメーションと認定し、ブログに掲載することにします。
コメント
残念ですが、資金使途について理解できている金融機関は少ないと思います。資金使途がわからないから、貸し方改善も出来ないのです。
議論の進展に期待しています。