年頭にあたり

2019年、各地域金融機関トップの年頭の挨拶をまとめてみました。

日本経済新聞の地方版からの抜粋です。

従業員や地域のお客様がたにどのように響いたでしょうか?

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〜北洋銀行の安田光春頭取は「キャッシュレス化やフィンテックにスピード感をもって対応することが重要だ」と述べた。(北海道版)

〜第四北越フィナンシャルグループでは第四銀行の並木富士雄頭取が19年を「新時代開拓元年」と位置付けた。北越銀行との統合を成功に導くためにも「変化に果敢に挑戦し、新たな領域を開拓していこう」と語った。大光銀行の古出哲彦頭取は昨年秋に新築した新本店について「地域密着を掲げる当行のシンボルだ」と強調。市場環境が不安定さを増す中、「自らが変化を作り出す強い意志を持ってほしい」と行員に挑戦を促した。(新潟版)

〜八十二銀行の湯本昭一頭取は「平成は銀行にとって大きな試練の時代だった」とした上で「新時代には日本が再び昭和後半のような飛躍の時代に戻れると期待したい」と話した。
長野銀行の中條功頭取は「本業利益の増強や戦略的な店舗再編を進めて、筋肉質な経営体制を確立しなければいけない」とした。(長野版)

常陽銀行の笹島律夫頭取は役員や行員ら約250人に年頭あいさつした。経営環境の変化に適応するには「お客様、地域が抱える課題の解決に貢献し、成果を出すための態勢整備と人材育成、IT(情報技術)の活用等による生産性の向上が重要だ」と訴えた。
群馬銀行の斎藤一雄頭取は行員向けのビデオメッセージで「今年もデジタル化を進め、効率化や省力化を更に推進する。それぞれの専門性を更に高めていく1年にしてほしい」と述べた。
筑波銀行の藤川雅海頭取はえとにちなみ「まっすぐひた向きに駆け抜ける1年に」と本部役職員255人に呼びかけた。足利銀行は20年1月に常陽銀とのシステム統合を控える。田川伸男本店営業部長は「統合に向け業務の棚卸しをして時間捻出しよう」と生産性向上の必要性を訴えた。(北関東版)

〜千葉銀行の佐久間英利頭取は千葉市内の本店で開いた新年祝賀式で、約320人の幹部行員に対し「日経平均は調整局面に入っている。早め早めに手を打つことを怠れば、取り返しの付かない状況に陥る」と強調し、変化の兆候をとらえる必要性を指摘。金融業界の環境変化を見据えて「先進的で高度なサービスを提供するため、前例にこだわらず改革を進めることが大切だ」と呼びかけた。(千葉版)

〜埼玉りそな銀行の池田一義社長は「変化の激しい不安定な時期ほど短期的な変動に惑わされず、ぶれずに未来を見据えることが大切」との所感を発表。新しい金融サービス業への進化を目指す考えを強調した。
武蔵野銀行の加藤喜久雄頭取は新年祝賀式で「変革期の銀行経営や支店運営のかじ取りは大変難しいが、お客様も同じ環境」と指摘。「(顧客に)喜んでもらい、我々も成長する好循環を築きたい」と訓示した。(埼玉版)

〜静岡銀行の柴田久頭取は「相続・事業承継サポートの強化・高度化が最重要課題だ」と指摘。「地域とともに持続的な成長を実現するためのビジネスモデルの構築を目指す」との考えを示した。1月21日に磐田信用金庫と合併する浜松信用金庫の御室健一郎理事長は「『地域とともに』という揺るぎない姿勢を貫きながら、次々に新しい風を吹き込んでいきたい」と話した。(静岡版)

〜金融業界はキャッシュレス化や異業種参入など激動期に突入した。百五銀行の伊藤歳恭頭取は「持続可能なビジネスモデルの構築に向け、大きく踏み出す」と決意をあらわにし、大垣共立銀行の土屋嶢頭取は「『脱・銀行』を標榜してきたグループとして一歩前に進む時がやってきた」と鼓舞した。(中部版)

〜増税で苦戦が見込まれる中小企業を多く顧客に抱えるのが地域金融機関だ。各行は「タブレットを活用した生産性向上」(北陸銀行の庵栄伸頭取)や「コンサルティングと法人営業の人員拡充」(福井銀行の林正博頭取)で収益確保を目指す。(北陸版)

〜広島銀行の部谷俊雄頭取は「異業種からの銀行業務への参入など、これまでに経験したことのない局面へ変化している」と述べた。超低金利で事業環境は厳しいなかでも「事業性評価を定着することで次なるステージに向けた質の向上を図る」と話した。
山口フィナンシャルグループの吉村猛社長は「日本経済は人手不足に起因する省力化で設備投資に対する企業の意欲は強く、内需は底堅く推移する。10月(に予定される)消費増税などインパクトは限定的と思うが、消費マインドの変化に注視したい。総じて潮目がかわる1年になる」と見通した。
もみじ銀行の小田宏史頭取は、インターネットバンキングの普及に伴う店舗機能の見直しに「既成概念を取り払い、一部では他業態との融合も視野に入れる」と述べた。
中国銀行の宮長雅人頭取は「10年後を見据えた新しいビジネスモデルへの変革のための基盤を構築する」とし、行員に対しては「意識改革をお客との信頼関係強化などの行動につなげる自己変革(パラダイムシフト)、将来を見据えたサステナブル思考の2つのテーマを自ら考えて実践してもらいたい」と述べた。
山陰合同銀行の石丸文男頭取は「米中の貿易摩擦、欧州情勢の不安定化などが見込まれ、景気の後退を思わせる状況」との見方を示し、「金融機関に求められることは多様性だ。基本をしっかりと確認したうえで、1つの物差しだけではなく、様々な判断に基づいて変化に対応していかなければならない」と強調した。(中国版)

〜低金利など地方銀行にとって厳しい経営環境は続く見通し。高知銀行の森下勝彦頭取は年頭あいさつで「金融緩和政策は出口が見えず厳しい収益環境は続く」と述べた。徳島銀行の吉岡宏美頭取は「全職員の力を結集して(2020年1月の)大正銀行との合併と新しいビジネスモデルの実現に全力で取り組む」と話した。
こうしたなか、銀行トップは最先端技術の導入により業務のあり方が変わっていくことも強調した。伊予銀行の大塚岩男頭取は、「事務仕事から解放され、顧客への価値提供が中心になる」と指摘。愛媛銀行の西川義教頭取は「新しい発想や手法をどんどん取り入れたい」と意欲を示した。(四国版)

〜西日本フィナンシャルホールディングスの谷川浩道社長は年初の株安を念頭に「米中の動向は日本のみならず世界のサプライチェーンや企業の設備投資に影響を及ぼす」と指摘。「世界の動きは直接、間接に九州経済に波及し、ひとときも目が離せない」と気を引き締めた。
九州フィナンシャルグループの上村基宏社長は「(傘下の鹿児島銀行は)創業140周年の節目。金融機関を取り巻く環境変化はさらに加速するが、『正直さと誠実さ』という基本に立ち返りたい」と語った。(九州版)


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