上場地域銀行79行 (グループも含む) の2018年4~12月期決算が出揃いました。
減益基調に歯止めがかからない中で、今回の決算では、今まで戻し益として収益を支えていた与信費用が、一転して増加していることが目立ちます。
雨足が近づいてきたかもしれません。
中小零細企業の経営者としては、雨が降ると傘を取り上げるレイジーバンクによる金融排除が気になるところです。
ところで、
昨日、某金融機関の役員さんと話したのですが、「競合金融機関との差別化できるタイミングが到来した」という観点で意見が一致しました。
競争のポイントが、不毛ともいえる低金利によるボリュームではなく、「信頼関係 → 逃げない姿勢」に変わるのです。
誠実な経営をしている中小零細企業に対し、逃げない姿勢で伴走支援というリレバンの本道を進もうとする「金融包摂型」の地域金融機関だけが生き残る流れとなってきました。
コメント
つい最近、次のような話を聞きました。きっちり向き合う力を蓄えた金融機関には、まさに「差別化のチャンス到来」という意味が分かります。
当該会社は借入金すべてが証書貸付金となっており、約定弁済に追われ、生産設備の更新投資が出来ず、じり貧の状況にあったようです。 以下、お聞きした範囲ですが、触れてみたいと思います。
(1)改善努力の結果キャッシュフローを安定的に獲得できるとこまで回復したが、すべて約定弁済に消えていた。
(2)返済を優先されるため設備は老朽化、受注は回復しており、設備を更新することで、復基調を一層鮮明にできるが、取引銀行は更新計画を認めてくれない。
「機械が故障すれば経営は立ち行かない。更新できない以上廃業を考えざるをえない」と覚悟した時、社長が友人より某金融機関に相談してみるように勧められたそうです。取引はなかったそうです。
当該金融機関は真摯に検討してくれて、次のように提案してくれたそうです。
①経常運転資金を切り出し短期継続融資
②資本不足は信用保証協会の協力を得て長期安定資金(実質長期固定資金)
③安定して獲得できるキャッシュフローの範囲で最低限必要とする設備資金融資
※当初は無理をせず最低限必要な更新から行うという提案だったと聞きます。
この提案により、設備投資が可能になり、最大の不安を一掃でき、経営に専念できる状況になった・・・というものです。
この金融機関が検討を始めたと聞いた保証協会は、この金融機関に対し、「お宅がかかわってくれるのなら安心だ。協会としてもこの会社の事業性は十分に回復していると考えている。できる応援はする」という、意思表明をいただいたと聞いています。
保証協会の協力を得て、当該金融機関は上位業態の取引を全面肩代わりし、伴走しているというお話です。業績は順調に回復しているそうです。
先日、ある会合で、お聞きしたお話です。
銀行決算の新聞記事のアナリストのコメントがいつも薄っぺらで呆れます。メディアの見識が問われますよ。