先日、地域金融機関経営のコンサルティングの分野で、ワタシが本物 (そういう人は、ほとんどいないのですが)と敬意を表する X 氏と話をしました。
X氏は、
多くの地域金融機関には、
「プロダクトアウトのボリューム追求の競争が得意」、
「顧客とのコミュニケーションの中から、自ら考えて顧客価値を上げるような提案し、それを実践することは非常に難易度が高い」
という頑強な遺伝子がある、
と断言します。
この遺伝子は地域金融機関の“企業風土”そのものであり、パソコンでいえばオペレーティングシステム (OS) と考えてもいいかもしれません。
X氏の所見によると、地域金融機関の OS は Windows95 のようなもの (比喩です) 。
地域金融機関には、この Windows95のようなもの(以下、“ようなもの”は省きます) で、パワーセールスのプロダクトアウト型ビジネスモデルを回していた歴史があります。
プロダクトアウト型のビジネスモデルが八方塞がりとなり、顧客本位のリレバン・ビジネスモデルに転換を図るべく、組織体制 (ハコモノ)、人事制度、業績評価、課題解決のためのツールの導入、外部連携などの手を打っていますが、成果が出ません。
当たり前の話です。OS が Windows95 のままなので、動くわけがないのです。
OS を放置したままで様々な施策やツールを持ち込んでも、労多くして、いつまで経っても成果につながることはないでしょう。
さらに言うと、ほとんどの地域金融機関は OS の存在すら認識していない絶望的な状況なのです。
例外はあります。
いくつかの地域金融機関はこのことに気づき、OSのアップデート、すなわち企業風土・企業文化の大転換に取り組んでいますが、5年、10年の長丁場となっています。
それでは、5年〜10年のタイムスパンが取れない地域金融機関はどうすれば良いのでしょうか。
今のトラバン・ビジネスモデルを進めていっても、将来の健全性が確保できない地域金融機関は増える一方です。
OS 交換が間に合わない金融機関は、トラバンから脱することができないわけですから、AIフィンテックの流れに巻き込まれて、消滅も覚悟しなければなりません。従業員は失職です。
X氏はこのことを十分に認識した上で、厳しい状況にある地域金融機関に対し、OS交換はさっさと諦めて、Windows95 でも走らせることのできる顧客本位の持続可能なリレバンモデルを某金融機関との間で推し進めています。
それって何?
X 氏が年月を積み重ねて作り上げたものであり、ワタシが公表するべきことではありませんので、ご容赦ください。
コメント
なかなか面白い比喩ですね。企業風土・企業文化がOS(基本ソフト)で、それを基盤として実行する様々な施策やツールがアプリケーションソフトとするならば、金融機関の職員の方々はOSをインストールしている(共通価値を具備している)ハードウェアといったところでしょうか。(普通は人間をソフトウェアとして、ハードウェアの対極に位置付けるものですが‥)
途轍も無く高いスペックを要求するOS(現実離れした空想的な企業風土・企業文化)を無理矢理搭載すれば、たちまちメモリ不足でフリーズする(理解や実行が追いつかず思考停止に陥る)ことになるし、そもそも命令セットアーキテクチャが根本的に違っているOS(職員の共感や支持が全く得られない企業風土・企業文化)に至っては、インストールする(組織に植え付け定着させる)ことすら出来ません。