「組織開発」による企業風土改革

金融仲介のベンチマークが導入されてから2年半が経過しました。

ベンチマークは、地域金融機関が「顧客本位の持続可能なビジネスモデル」によって「地域顧客との共通価値の創造」を実現していく際に、進捗状況を見るための重要な指標です。

いまだに導入していない地域銀行もある (ビックリ‼️) ようですが、当初より取り組んだ金融機関では3回分の数値が蓄積され、顧客本位のビジネスの進捗状況を確認することができます。

さて、

「週刊金融財政事情」2017年10月23日-30日秋季合併号で、「金融機関は佳境を迎えた金融庁の改革に遅れをとるな」という論考を出したのですが、その中でベンチマークについても書きました。

「一連の検討会議での議論を思い出すと、金融庁からは『金融仲介機能』だけでなく、複数のテーマに関するベンチマークを設定し、地域金融機関との対話を複合的に深めていく構想があった。当時、そのテーマとして『資産形成機能』『リスク・リターン』『企業風土・企業文化』などが掲げられていた。このうち資産形成機能は、ベンチマークではなく『顧客本位の業務運営に関する原則』というかたちで結実したが、金融庁と金融機関の対話のテーマは『金融仲介機能』と『資産形成機能』に関する取組みだけで完結するとは思えない。」(本文より抜粋・要約)

実際、ベンチマークの当初の構想では、「1つの土台に3つの柱」というイメージがありました。

扇の要ともいえる土台にあたるのが「企業風土・企業文化」だったのですが、ベンチマークの難易度が高く、その後の展開がなく現在に至っています。

ところが、

地域金融機関における早期退職者が急増するなど、ヒューマンアセットの崩壊が顕著になった今、「企業風土・企業文化」の大改革が喫緊の課題になっています。

そのためにも「企業風土・企業文化」のベンチマークは真剣に検討すべき段階に来ているものと思っています。

そういう中で、「組織開発」(OD = organization development) に関する勉強会に出席しました。

大手メーカーなどが取り入れたとのことで話題になった「組織開発」という言葉ですが、経営戦略に合わせて組織を改革する方法論です。

その本来の意味は「組織内の当事者が自らの組織を効果的にしていく(よくしていく)ことや、そのための支援」(OD Network Japan のホームページより)とのことだそうです。

講師の方のわかりやすいお話を聞いていて、地域金融機関の「企業風土・企業文化の改革」という、いま最も重要な課題に切り込むためのひとつの方向性が見えてきました。

難問ですが、じっくり考えてみようと思います。

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コメント

  1. 新田信行 より:

    おっしゃる通りで、当組も対話型組織開発にまさに取り組んでいるところです。あわせて、従業員エンゲージメントの向上に向け、かんしん働き方改革を進めています。リレバンの理念の実践のためには、職員の意識改革と組織文化の改革が不可欠であり、ここまで踏み込まないと、いかなるビジネスモデルも、上滑りで形式的なものにとどまるでしょう。経営者の最大の悩みがここにあります。

  2. 森脇ゆき より:

    私が憧れる創業者の方の会社。代替わりを経て今もその業界で変わらぬ価値を提供しております。

    最近従業員の方数名にお目にかかる機会があったのすが、仕事を語る皆様に力が感じられなく寂しい気持ちになりました。

    私なら喜んで働きたい会社なのに、なぜでしょう?

    会社の規模が小さいことを気にされている様子もありました。

    「規模の大きさや知名度だけのブランド力がお客様に選ばれる本当の価値ではない!

    御社を利用するお客様に誇りを持ってください。間違いなく、お客様に選ばれているのですから。」

    と生意気を申しました。

    すごくもったいないと感じたのです。

    意識改革は、上からではなく、下からといいますか、現場そのものが主役だからこそ、難しいことです。

    与えられるものではなく、自らが志向する方向へ進んで欲しいものです。

    バカモノ・ヨソモノとしてできることはガンバリマス。

  3. Hさん より:

    なぜ皆さん、会社の規模が小さいことを気にされるんでしょうね。

    昨今はメディアの見出しでも「地方銀行における合従連衡」といった具合に、『史記』の故事に基づく「合従連衡」という言葉を随分と目にするようになりました。ところが同じ故事から生まれた名言を併せて聞くことは殆どないです。

    『寧ろ鶏口と為るとも、牛後と為ること無かれ』

    中小規模の地域金融機関は経営トップのみならず、職員の方々も「合従連衡」という言葉に触れた際には、その裏にある上記の気概にも思いを馳せて欲しいものです。