🚩金融行政方針2020を速読して

新事務年度の金融行政方針「コロナと戦い、コロナ後の新しい社会を築く」が本日夕刻にリリースされました。

ひと通り読んだところで、地域金融・中小企業金融で印象に残ったのは、ウイズコロナ・ポストコロナにおける金融機関の事業者に対する「経営改善支援、事業再生支援」がメインテーマとして掲げられたことです。

~コロナ禍の状況等も見極めながら、資金繰り支援から、資本性資金等も活用した事業者の経営改善・事業再生支援等に軸足を移し、コロナ後の新たな日常を踏まえた経済の力強い回復と生産性の更なる向上に取り組むことが必要だ。(本文-p3)

昨年の秋以来、リレバンの高度化ということで経営改善支援・事業再生支援にフォーカスし、いろいろと発信してきました。また、本年1月の松江市における再生屋シンポジウムや来月予定されている諏訪リレバンサミットのお手伝いをしていましたが、どうやらやっていたことは間違いなかったようです。自画自賛ですが。

さて、

今回、地域金融・中小企業金融のパートで注目に値するのは「金融機関が借り手を全面的に支えられる包括担保法制等を含む融資・再生実務の検討」の箇所です。

~今般のコロナ禍では、事業性評価や伴走型支援といった金融機関の平時からの取組みの真価が問われた。危機時において、事業者のためにリスクを取り、迅速に支援するためには、平時から事業者と緊密な関係を築き、事業実態を理解している必要があることが、 改めて認識された。(中略) 現状では、有形資産に乏しい事業者は将来性があっても依然として経営者保証の負担を負わざるを得ない場合があることや、従来の個別資産ベースの担保法制では債権者の最終的な関心が事業の継続価値よりも個別資産の清算価値に向きがちであるといった課題がある。 金融機関に事業の継続や発展を支援する適切な動機付けをもたらすような、事業を包括的に把握し支える担保権等の実務上の可能性を模索していく。(本文-p4、下線は多胡によるもの)

ワタシ自身、中小企業金融の実務経験に乏しく、担保保証の議論についても十分に理解していないのですが、このような展開の中で、「逃げずに財務面・本業面から事業者を支える金融機関」以外の居所はなくなることは間違いありません。

ぶら下がり融資でボリュームを稼ぐだけの金融機関の存在価値はありません。

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