「近頃、信金の職員がぜんぜん来ないなぁ。」
X市 の中小企業経営者たちの茶飲み話が、洩れ聞こえてきました。
かつて人気のあった漫画「まいど 南大阪信用金庫」の主人公、“ナカやん”は毎日カブでお客さんのところを回って、集金をし、顧客情報を集め、地域の皆さんの相談に乗っていました。
足で稼いでなんぼの信金職員がまったく来なくなったというのは異常事態です。
どうやら退職者が続出で、外回りの職員が確保できなくなったというのが真相のようです。
一方、
P市の信用金庫は新卒で内定を出した男子職員が全員辞退したのだそうです。深刻な状態です。
この2つの信用金庫はワタシが見る限り、プロダクトアウトの物売り体質であり、やっていることが信用金庫の理念とは大きく乖離しているように思います。
信用金庫の経営理念は SDGs そのものであり、その本質は“金融包摂”であると増田さんに教えていただきました (本ブログ2月28日「ESG金融 ハイレベル パネル」に対するコメントをご参照ください) が、X市とP市の信用金庫のホームページから、“金融包摂”の姿勢は微塵も感じられません。プロダクトアウトの金融商品のオンパレードです。
だから職員が早期退職するのです。内定蹴りをするのです。
経営責任です。
そういえば某地域で進行中の信用金庫の合併は、職員が辞めすぎて組織が維持できずに近隣の信用金庫と合併するのだと「風のウワサ」が、、、
真偽のほどは定かではありませんが、もしそうだとすれば、合併する前に経営者は責任を取るべきでしょう。
合併を機に退任するのであれば、退職金ゼロが然るべしです。
重要な資産 (ヒューマンアセット) を崩壊させた以上、当然です。
有形資産である融資の不良資産化よりも、ヒューマンアセット (無形資産) を毀損する方が罪が重いと考えるべきです。
コメント
経営資源で、人物金と言いますが、人は物や金とは違います。
そして高度成長時代は、人が増えて物や金がなかった時代です。
今は全く逆で、物や金が溢れて、人が足りない時代です。
だから、これからの時代、人を大切にしない企業はサステナブルではあり得ません。特に金融機関は。地域金融機関の経営者の皆さん、目を覚ましてください。
そうなんです。だからこそ経営ベンチマークに中途退職率を選ぶ意義が生じるのだと思います。このベンチマークは万能ではありませんがこういう時期の経営指標としては無視できないと思います。しかしながらだめな銀行・信金ほど開示しないでしょうなあ。したがって当面は「開示してる」、「開示してない」のゼロイチが評価バロメータになりまする。
内定を蹴るとか、退職してしまうなど、胸が苦しくて書かせていただきます。
SNSのフォロワー数が欲しくて事故がおきたり、身勝手な承認欲求から事件を起こしたり、現代の人々がこれほどまでに、自己の承認欲求を強く感じていることは経営者の方々もご承知の通りです。
ルールベース、プロダクトアウト型のセールス主体の金融機関で働くことに人々が魅力を感じる訳がありません。
なぜなら、そういった金融機関は働く人も「駒」であり個々を見ていないのです。
私たちは、私たちが必要とされる場を求めています。お客様に喜んでいただき、職場の仲間と共に築き上げるものを望んでいるのです。
経営者の皆様、勝手に従業員を代表して申し上げます。「私たちに甘い果実を刈り取る手法でなく、土作りを勉強させてください。」
書いていて無農薬のリンゴ農家さんを思い出します。沸いたムシの除去に数年費やし、半分の木が枯れてようやく土の改善に着手する方法を選んだのでしたよね・・・。
リンゴは気が遠くなる年数と道のりですが、人間は早いと思います。
なぜなら私たちは血の通った人間なのですから。
果実からではなく、土から。私も農家の育ちですから良くわかります。地域金融機関は、狩猟民族ではなく、農耕民族だと思います。森脇さんの心の声に共感いたします。