経営逃亡者は外部要因のせいにする

6月3日の本ブログ「自分事として捉えられるか (その2)」で、逃亡する地域金融機関トップのことを書きました。

《おぞましいことに「ルール症候群、形式主義、モノマネ」の思考停止、顧客本位というのは口だけの人たちが、経営陣の大半を占める組織では、顧客のために創意工夫する人たちは生き残れません。忌々しいことに、金融機関の利益優先で行動した人間や、上だけを見て余計なことを言わないヒラメ人間が、プロモートする仕組みになっている組織が多数派です。いまや地域金融機関の経営陣の劣化が目立ちます。経営環境の厳しさや、当局の深度ある対話に耐えられないとの思惑から、逃亡する経営者の話も聞こえてきます、唖然。早急に経営人材を探さねばなりません。》

この話を裏付けるような記事 (「苦境の地銀、頭取交代の波」) が昨日の日本経済新聞に掲載されていました。

《金融庁が4月に公表した地域金融機関に対する新たな監督指針も地銀には重くのしかかる。これまでは経営の健全性を判断する目安として足元の自己資本比率を中心に見てきたが、今後は将来の「稼ぐ力」を重視する。本業で赤字が続くような収益力の低い地銀を重点的に監視し、早めに経営改革を求める狙いだ。金融庁は改善が見られなければ、経営責任の明確化を含めた業務改善命令などの発動を視野に入れている。~中略~ ある地銀幹部は「収益力の低い銀行は戦々恐々としている」と話す。遠藤俊英長官は1月に開いた全国の地銀頭取との意見交換会で「抜本的な経営改革は、自らの任期中に決断し実現するとの認識を持ってほしい」と訴えた。トップの決断で経営改革を進める地銀がある一方で、金融庁幹部は「経営を立て直すことをせずに第一線を退く頭取がいる」と問題視している。》(同記事)

本年の地域銀行の頭取交代は15行で、昨年の10行と比べると増加が目立ちます。

「地域金融の厳しい環境」というのが交代増加の主な理由とのことですが、環境が厳しいからバトンタッチするというのは自らの経営能力をなさを吐露しているとしか思えません。

この言葉を記者会見で4度繰り返した頭取は、遠藤長官のいう抜本的な経営改革を自らの任期中に決断実行したのでしょうか。そうでなければ厳しい環境で打つ手がなくて引責辞任だとの自覚が果たしてあるのでしょうか。

 

 

 

 


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コメント

  1. 橋本卓典 より:

    会長などに退いて、金融庁との対話には出てこず、年収何千万円みたいな隠然たる実質トップが居残っていますからね・・・

    引き継いだ頭取のみなさんの気苦労は察して余りあります。が、ここは良い機会なので、過去を清算し、

    ★脱銀行志向で

    ★地域の当事者責任を失わずに

    ★地域課題解決総合企業(金融機能付き)への思考・行動・体質転換

    を是非目指していただきたいと思います。

    40代から下の銀行員の多くは気づいています。50代も皆無ではありません。気づいている人は気づいています。

  2. 森脇ゆき より:

    とある銀行の伝統的に稼ぎの悪い支店の支店長との会話。

    私「伸びしろがあるとやりがいありますね!」

    支店長「支店長ってさ、2,3年で交代でしょ、稼げない店に行ったら、今までのカルチャーに溶け込んで、事無きを得るのがいいよ。とにかく、事故がないのが一番。うるさく言って皆に嫌われたくないし。」と仰っていました。

    支店の職員から見ると、理事長や社長とお話する機会は稀で、身近な経営トップは支店長です。

    この意識の低さは、支店長がいかに支店経営に興味がないかを示しています。

    (中小企業の社長と語り合えるわけが無い)

    見方を変えると、支店長がいかに権限が与えられていない弱い存在かを示しています。

    「この支店長いらないな」

    と思いました。

    しかしこの人物は組織のピラミッドを上がっていきました。

    経営者育成とは実際どのくらいの年数をかけて、どのくらいの経験を積むのでしょうか?

    5.6人の課、10数名の小さな支店長、中規模、大規模組織とだんだん大きな組織を任されますよね、

    全てにおいて、ルールベース、ヒラメ人間だったら意味ないです。

    経営は、支店長に、支店長は課長に、課長は部下にチャレンジという大きな権限を持たせてみてはいかがなのでしょう。

    以前、仕事がステキで尊敬している上司にヒミツをお聞きしたら、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を貸してくださいました。これを読むと、新人の時の上司が私にどのように接してくれていたかを思い出したのです。

    「おもいきり好きにやんなさい、失敗しても君に責任はないよ。」

    この上司は組織のピラミッドは登りませんでした。

    何を申し上げたいかと言いますと、大きな金融組織を経営するのであれば、組織の末端の人間を輝かせる必要があるのではないかと思うのです。

    (この場合の末端とは、お客様と接している人を指します)

    経営者は、支店長を通して、支店長は課長を通して、課長はお客様と接する私たち担当者へ。

    生意気書きましたが、経営のことはわかりません。((;^_^A

    私は支店で働く担当者のみなさんが幸せに楽しく仕事をしているのが良いことだと思うのです。

    地域金融の主役は支店の担当者だと思っています☆