19日のブログ「そのコメントに異議あり」で、資本提携に踏み込まないからこそ効果が出ることを書きました。
本日はこの続編です。
さて、
地域金融機関の経営統合 (持ち株会社形式) や合併の際にしばしば聞かれるのは、資本統合する地域銀行同士のボリューム競争や収益競争です。
統合合併する2つの銀行が、損益分岐点を割り込んだ低金利での融資残高の積み上げに走り、保有株式の含み益を吐き出し当期利益をかさ上げし、しゃにむに競い合う姿を見ていると、グループ内部での主導権争いへの強い執着が感じられます。
営業店レベルでも同様で、同一地域や近隣の店舗同士のボリューム競争の凄まじさは、地域の財界や競合金融機関の唖然とした証言から浮き彫りになります。「何をやっているんだ」
ところが包括業務提携となると光景はガラリと変わります。
包括業務提携を結んだ、ある2つの銀行 (本店は東京ではない) の東京地区の支店長さんたちと意見交換をしたことがあります。
両銀行の近隣の店舗同士が緊密に情報交換を行い、顧客紹介や協調融資に積極的に取り組み、業務提携により両店がともに成果を挙げているのを見て、これこそが提携によるシナジー効果だと思いました。
事業者数が多く、県外地域金融機関にとって未開拓部分の市場が大きい東京のようなところではとくに、経営統合/合併(資本統合) よりも包括業務提携の方がはるかに効果が大きいものと考えます。
《資本統合すると合理性を欠いた競争や益出しになり、資本統合を行わないと(包括業務提携) 協力体制が生まれる。》
これこそが「ヒトと組織」らしさ。
橋本卓典さんのおっしゃる見えない世界なのかもしれません。
コメント
資本統合で一緒になった方が「店舗の統廃合」の不安が営業店で広がり、ポスト確保など奇妙な内部けん制、無理な営業推進が号令されたりするのではないでしょうか。つまりは、「地域の元気、顧客の元気」よりも「社内政治」が優先されるのです。元気なくなりますよね。
だったら、「メリットがあるここだけは連携しましょう」と、是々非々で割り切った方が、「政治」をする必要がないので、気楽ではないでしょうか。