事業者はリスクを取っているのに

週末、金融機関と顧客との「共通価値の創造」について改めて考えました。

「共通価値の創造」がシンプルに具現化されているのは、日豊本線の3つの第二地銀 (北から豊和、宮崎太陽、南日本、いずれも公的資金を導入) のビジネスモデルです。

端的に言えば地元顧客の商品サービスの販売支援なのですが、多くの銀行が行うイベント性の強いビジネスマッチング (なんちゃってリレバンです) とは異なり、それ自体が銀行の完全な中核業務となっています。組織的継続的な運動です。

取り扱う商品サービスは売りにくいものが多く、だからこそ顧客満足度は高く、それが銀行への評価へとつながっているのです。対象となる企業も業況の厳しい先が多いものと推察されます。

このケースでの銀行側のメリットは、企業の売上増加による信用格付けランクアップ (引当金が戻る) → 増加運転資金の発生→ 設備更新などの可能性、ついでに (あえてそう言います) ビジネスマッチング手数料収入と展開します。手数料ありきでやるとそこで止まってしまうことになりかねません。

さて、

先週22日のブログ「脱検査マニュアルのインタビュー記事」で紹介した森俊彦さんのインタビューでも“共通価値の創造”がメインテーマです。

森さんの「事業者はリスクテイクしている、しかるに金融機関はなんなんだ」というメッセージは突き刺さります。そうだ、そうだ‼️

「多くの中小企業は人手不足の中で果敢に事業リスクを取っている。金融機関が担保保証をいくらとっても中小企業が挑戦する事業リスクそのものは減らない。」と本質をズバッ。

実際、事業キャッシュフローが回っているのに、長期借入金の約定弁済で赤字になり、資金繰りに追われている中小企業経営者が多いことは大きな問題です。資金繰りに追われていたら中小企業経営者は事業リスクに立ち向かえません。

金融機関は信頼関係を再構築し、まずは借入金のリバランスにより中小企業の企業価値である営業キャッシュフローを改善し、正常運転資金を押さえて動体モニタリング、本業支援も交えた伴走支援によって持続的な成長を後押しすることが共通価値の創造につながるとの意見です。

日豊本線3行のビジネスモデルも、森さんの伴走支援にしても、経営トップが決断すればできることです。

もはや、なんちゃってリレバン、なんちゃって事業性評価、外部業者の手先となったコンサルもどきをやっている場合ではないのですがねぇ。

 

 

 

 

 


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コメント

  1. 橋本卓典 より:

    森さんの信念がまっすぐに書かれておりました。逃げてはいけない地域のリスクから逃げるのが地域金融機関のリスクアペタイトです。本末転倒。

    日豊本線3行(笑)目覚めてます。面白い動きを始めています。

  2. 新田信行 より:

    業績の厳しい金融機関のトップは本当に大変です。これは多分経験した人にしかわかりません。是非彼らに、現実を見る勇気があることを祈ります。。リスク回避と思っていたことが、実は自らのリスクを増やしていることがわかるはずです。これを対話で諭しても、聞く耳を持たなければ仕方ありませんね(涙)

  3. 森脇ゆき より:

    (起業した立場で)

    森さんがニッキンに書かれている、「資金繰りが悪化し本業に専念できない」とのくだりは涙です。そのような気持ちで支えてくださる金融機関担当者と出会ったら、借りたお金は必ずあなたに返します!という気持ちになるでしょう。

    中小企業の経営者仲間がおりますが、資金調達の方法は実に様々で面白いです。ご想像のとおり金融機関を通さないこともしばしば。

    しかし、ほとんどの会社は金融機関の融資が命綱。経営者も金融機関も共に本気で頑張りたいところです。(両方の立場でぐちゃぐちゃですが)

    経営悪化の金融機関の経営者、そのご苦労は想像すらできないほとです。

    孤独を楽しみつつ、また、聞く耳も持たなくてはいけないし、開けたくないゴミ箱の蓋もあけなきゃいけない。神業ですね。

    沢山の人との出会いやお誘い、経営者の方の心理的安全な相手や場所はどこにあるのでしょうか・・・。