自己本位の合併で大量の人材流出

最近合併した、もしくは合併のプロセスにある地域金融機関の従業員の早期退職状況を厳しく見ています。

多くの場合、対等合併とはいうものの実際強弱があることは否めません。いわば弱者の側の金融機関では、大量の早期退職者が出ているケースと、ほとんど出ていないケースとに二分化されるようです。

この違いは何でしょうか。

9月13日の本ブログ「自己都合の合併、顧客本位の合併」で述べた通り、合併には2つのパターンがあります。

「顧客本位の合併」は銀行法第1条にある「国民経済の発展に資する」に磨きをかけるものです。当該金融機関のビジネスモデルは経営理念と合致しており、合併によって深度を高めることを目指します。

新聞報道によれば、地域金融機関はブラック企業との不名誉な烙印を押されているようです。

それは経営陣が経営理念の形骸化を放置し、顧客を踏み台にした金融機関本位のビジネスモデルのノルマ地獄がまかり通っているケースが目立つからです。経営理念からの逸脱がヒューマンアセットの崩壊を招いているのです。

顧客を置き去りにした「自己都合の合併」では、弱者の側の金融機関の早期退職者に拍車がかかっています。

地域金融機関のミレニアル世代、Z世代と話をすると、年功序列の終身雇用が当たり前だった世代とは、価値観が違うことを思い知らされます。彼らは職場が経営理念から乖離すれば躊躇なく辞表を出します。そして転職市場も従来とは比較にならぬほど厚みが増しているのは周知の通りです。

顧客そっちのけで、合併後のポスト争いに執念を燃やすロートル世代には理解し難いことかもしれません。

 

 


シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする