処分の理由は?

コンプライアンス・リスク管理の専門家の話を聞く機会がありました。

金融庁の行政処分の視点が、「法令等遵守」から「コンプライアンス・リスク管理」へと大きく転換していることを再認識しました。

~金融機関におけるコンプライアンス・リスクはビジネスと不可分一体で、ビジネスモデルや経営戦略自体に内在する場合が多く、金融機関においては、その管理は経営の根幹をなすものであるとの認識に基づいた経営目線での対応が極めて重要となる。~ (令和元事務年度 金融行政方針の62ページ)

そうなると自ずと、コンプライアンス・リスク管理では、「顧客本位の業務運営」であるかどうかが勘所になるものと考えられます。

実際、

2018年7月の東日本銀行に対する行政処分の処分理由 (1)は「顧客の利益を害する業務運営」となっています。(→ 融資に伴って金利と別に多額の手数料を取ったり、過剰に融資して一部を定期預金させたりするなど不適切な融資が横行、日経新聞) 顧客本位の業務運営がなされなかったことが処分の第一の理由なのです。

また、金融庁ホームページの「スルガ銀行株式会社に対する行政処分について」(2018年10月5日)を見ると「処分の理由」(2)に「顧客の利益を害する業務運営」との記載があります。

当行では、シェアハウス向け融資を含めた投資用不動産融資を実行する際に、カードローン、定期預金、保険商品等の様々な商品を抱き合わせて販売しているが、これらの取引は、顧客にとって経済合理性が認められない取引となっており、顧客保護上不適切な業務運営となっている。~(以下略)

どうしても処分理由(1)「シェアハウス向け融資及びその他投資用不動産融資に関する不正行為」の方に目を奪われがちですが、上記の処分理由 (2)をしっかりと受け止めなければなりません。

さて、

9月5日のブログ「厳正な遵守に向けた態勢整備」に、寺岡さんが「一粒で二度美味しい」という痛烈なコメントを入れておられますが、不良債権化した事業や物件を健常企業にM&A等と称して押し込んで、健常企業への融資に振り替える、そしてM&A手数料もガッポリ取るような取引は今もってあるようです。

最近も某所で聞きました。

こういう品のない金融機関であっても「顧客本位の業務運営」を高らかに謳っています。嘘つきめ[E:#x2757]️

彼らはこのような「顧客の利益を害する取引」が行政処分の対象となる可能性があることをどれだけ認識しているのでしょうか。法令等遵守に違反していないから、と抵抗するのでしょうか。

当該金融機関のホームページで経営者の顔をしげしげと見てしまいました。

 

 


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コメント

  1. 新田信行 より:

    当組が、[コンプライアンスお客様保護]で、ワンワードとしている理由がご理解いただけると思います。法令違反していなければOBでないから良いのではなく、法令違反に近い状況自体が既に、経営上大トラブルショットなのです。そしてOBラインすら、法解釈の中で時代と共に変化します。

    経営理念として、そもそもOBに近寄らない、フェアウェイの真ん中を堂々と進んでいく姿勢こそがサスティナブルであり、ビジネスモデルにおいて、理念が重要視される所以なのです。