地銀合併の特例法案

 「政府は29日、経営難が続く地銀の経営統合やバス事業者の共同経営を促すため、独占禁止法の適用を除外する特例法案の概要をまとめた。人口減が進む地方での合併をしやすくし、金融サービスや地域の足の維持につなげる。(中略)  合併が利用者の不利益につながらないかについては公取委とも協議をするが、認可の最終権限は担当大臣が持つ。合併後も金融庁国土交通省が監視や指導を行う。期限を設けて再編を促すねらいから、法案成立後10年以内に廃止する方針。」

10月30日の朝日新聞デジタルの記事「地銀統合促進へ独禁法適用除外・政府が特例法案」の抜粋です。

この法律のきっかけとなったのは長崎県の2大地銀の合併事案であり、それをあと押ししたのは「金融仲介の改善に向けた検討会議」の報告書 (2018年4月) だと言われています。

金融庁のホームページに掲載されている通り、当該検討会議では地銀の競争政策に関して、2018年3月14日と3月30日の二度に渡り議論が行われ、その内容については要旨が開示されています。

3月30日の検討会議では以下のような指摘がされています。

→ 金融機関は、金融庁による検査・監督の下にあり、合併等についても、金融庁による審査とモニタリングを受けるので、そこできめ細かく中身を見ることが、重要なポイントである。

→ 長崎県は、信金・信組のネットワークが全くと言っていいほどなく、地域銀行以外に広く地域金融の受け皿となるところがない。長崎県内の地域銀行同士が経営統合することにより当事行が県外資本になる。限りなくメガバンクに近い県外地域銀行が株主となるので、そのような株主の下で、いかに調和のとれた経営を行うことができるかが要求される。こういった状況の中で、金融庁は、難しい審査・モニタリングが求められる。

→ 地元企業の立場で考えてみた場合、一番懸念することは、ミドルリスク層を面倒見てくれるかどうか。二番目は、過疎地へのコミットメントがあるかどうか。三番目は、顧客である事業者に対して経営改善や事業再生を行ってくれるかどうか。この3つの重要な視点について、金融庁による審査・モニタリングでしっかりと見ていってもらいたい。

(金融庁hpより)

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特例法案の成立とともに、合併する地域銀行が出てくると思いますが、金融庁には合併が利用者の不利益につながらないかにつき、入念に監督や指導を行っていただきものです。

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