まだ再編などと言っているの?

~金融庁幹部は一連の施策について「再編させることが目的ではない」と強調するものの、生き残り策を見いだせない地銀に対して再編圧力が増すのは避けられない。

本日の日経新聞の記事「地銀再編、異業種が軸に 監視強化で狭まる包囲網 」の結語の部分です。日経さんのご意見ですね。

「再編圧力が増す」???、はっきり言って違和感ありです。

再編、すなわち合併や資本統合をして、規模の利益を追求しても、その程度のスケールメリットでは、AIを駆使した異業種やネット系の前では木っ端微塵になることは明らかです。

AIの金融への進出スピードが加速する中で、再編のためのコスト (機会コストも含む) や再編で生じるヒューマンアセットへの悪影響を考えれば、再編のような【無駄玉】を撃っている場合ではないのです。

「再編しても無駄」です。

いまやるべきことはAIの参入までの時間の余裕がある (参入障壁があるといいたいところですが) 顧客密着型のビジネスモデルへの特化です。

それを進めていくには、再編ではなく“ダウンサイジング”であり、バックヤードのスケールメリットの追求については、再編ではなくフィンテック業界をも含めた他との“連携”です。

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コメント

  1. 八代恭一郎 より:

    AIに人間がチェスで勝てたのは四半世紀前の話。
    昨年、人間とAIが1対1では勝てないゲームで、複数の人間のチームとAIが戦ったら、AIは負けたというグーグル関連会社での実験結果が得られたとのこと。
    グーグルは、チームでならまだまだ捨てたものではない人間の認知能力を礼賛するのではなく、複数の人間のチームとの対戦でも勝てるようにアルゴリズムを改善していくのでしょう。ただし、戦争への応用だけには警戒するようです。
    世界は、人間の認知能力をAIで置き換えることでの、(戦争ではない)財務上の生産性向上に、倫理のちゃちゃ入れにに煩わされることないまま、ここまで執着できるわけです。もう誰も止められません。
    経営統合ではシェアードサービス化でのしがないコスト削減しかできないのに、地銀株のPBRが低くなっていることだけで、ここまで地域金融機関の再編で盛り上がれるどこぞの国はガラケーならぬガラパゴス国に見えるのですが。

  2. 東北の銀行員 より:

    先日コメントさせていただいた「きょうのことば」同様、特にここ最近の再編圧力特集のような記事には違和感を覚えます。

    唐突ですが、私は個人的に「銀行本部から支店に対する収益圧力」と「国から銀行に対する再編圧力」にはある種の共通項があるように感じております。

    聞くところによると、地域金融機関の中には未だに支店に対して収益(数字)そのものを詰めるような思考停止本部も存在しているようですが、結局それは「銀行の収益が最優先で顧客の利益は二の次三の次」と言う事でしかありません。

    そして不幸にも本部に滅法弱い思考停止支店長が上司だった場合は部下を数字で詰めることしかできず、結果としてまだ思考停止していない志を持った若手の離職・ヒューマンアセットの崩壊を招くことになりかねませんが、果たして本部にその覚悟はあるのでしょうか。

    そしてまた、当局に滅法弱い思考停止経営者の方には

    「地域金融機関の本分を忘れ、地域へのコミットメントコストに腹もくくらず、正味の金融仲介機能を発揮する努力を怠っていたりするようなおりこうさんであれば、国策としての地域金融再編要請を甘受するしかなかろう。マウンティングされる可能性の高い側の現在の経営者は、かわいい後輩や優秀な部下が冷遇され、根絶やしにされていくのを、隠居してから、または草葉の陰から見届ける覚悟をして欲しい。」

    という八代社長のコラムを一度読まれることをお勧めします。