昨年12月27日に日経新聞に「不振地銀10行を重点監視 ~ 金融庁、“新”早期警戒制度を初適用」という記事がありました。
金融庁が経営難で将来の存続が危ぶまれる10行程度に対し行う「対話で点検する主なポイント」として、
~地域の経済状況や顧客基盤の変化への見通し
~稼ぐ力の増強、店舗リストラなどの経費削減、増資といった収益力の強化策と効果
~本店建て替えやシステム更新など追加コストの見込み
~株式や債券など有価証券の益出し余力
~必要な人材を確保しているか
~地域経済で果たす役割、再編を含む経営戦略
(同記事より)
が挙げられていました。
遺憾ながら今までのビジネスモデルの延長線上でこれらの議論を行なっても、十分な成果が出るとは思えません。そんな悠長なことをやっている時間はないのでは、、、
推察するに不振地銀10行は地域のトップバンクではなく、二番手以降と思われますが、再編してもバラ色の展開はありません。単なる先送りにすぎず、そのための再編コストを費やすことは余命を縮めるだけです。
まずは強みのあるところ、他行との優位性を出せる可能性のあるところを抽出し、そこに限られたリソースを集中投下すること、その可否につき徹底的に対話すべきです。
例をあげれば、
~非効率で業容拡大が見込めない県外業務からの撤退のみならず、県内でも特定地域への集中、
~個人取引から撤退し、中小小規模企業取引に特化、
というような絞り込みです。
「集中投下」の決断ができない経営陣ならば、決断できる経営者に交代していただくための対話に切り替えです。
コメント
仰る通りです。
特に投資信託など預かり資産部門は、憖っか相応の費用が掛かっているが故そこで収益を奪回するという思考になる(私の勝手な臆測です)のかも知れませんが地域の二番手以下~下位行がこの分野にトップバンク同様のリソースを割くことに何れ程の意義があるのか甚だ疑問です。
また、「資産形成層の裾野を拡げる」を名目に顧客数増加をKPIに設定している地域金融機関もあるかと思いますが、新規の顧客数を増やすよりもまずは目の前にいる既存顧客への「顧客本位」に徹することが最優先なのではないでしょうか。
その上で、もし幸いにも中小企業向け取引など他行に勝る強みを有するのであれば、早期警戒制度の適用に関わらず「地域」の為に惜しみ無くリソースを集中投下する決断を下すべきだと思いますが、「選択と集中」に必要なものは、何よりも経営者の勇気と覚悟なのかも知れませんね。
過去の延長線上で、物事を決めていく時代ではなく、全く新しいフェーズに入っていると感じています。
ドラッカーの中に
「未来について言えることは、二つしかない。第一に未来は分からない、第二に未来は現在とは違う」(『創造する経営者』)。
そして
「すでに起こったこと」を観察すれば、そのもたらす未来が見えてくる。ドラッカーはそれを「すでに起こった未来」と名づけています。
すでに起こった未来を認識できるよう、自身自身の観察眼を養っていきたいと思います。
これから必要なことは、強い目的意識(will)×強み(can)=あれかこれかです。あれもこれもの足し算の経営ではなく、あれかこれかの引き算の経営です。そのためには、未来に向けたその金融機関ならではの不動点を創造的に設定することです。