🚩与信費用コントロールに絞り込め

昨年の今ごろは「顧客向けサービス損益」(本業利益ともいうようです)という言葉に、地域金融機関業界の注目が集まっていました。

(貸出残高 × 預貸利鞘 + 役務取引等利益 – 営業経費)

なのですが、“構造的”に預金と貸出のギャップが大きい地域では必然的に赤字となります。

であるからこれを横並びで比較して優劣を語ることはナンセンスであり、この数値に与信費用の増減を加味した上で各金融機関ごとに時系列で見るのであれば意味があると考えます。

このことはブログ「本業利益を比較材料にするな」(2019年11月30日)でも触れています。

昨今、地域銀行の本業赤字が話題になります。 「金融庁の集計によると、2018年度に地銀が貸し出しと手数料収入で得た本業の利益は105...

コロナ禍の長期化で与信費用の増加が予測されます。残念ながら、かつてない増加額を覚悟しなければなりません。

99%、 99.9%にかかわらず信用リスク管理の閾値を超えるような状況で、与信費用のコントロールは最重点課題となります。

といってもどこかの地域銀行の頭取が宣った「絶対、与信費用を出さない」というのは論外です。

資金繰り支援(単に資金を流し込むことではない)により借り手の事業実態の変化を把握し、事業支援を併用して業況悪化させずに事業継続を促すようなサポート、さらに重症患者の場合には財務面・事業面での再生支援の中で、一時的に与信費用が増加することはあるものの、これを吸収するために自己資本を活用するのです。

そして、ここでの踏み込んだ支援こそが中長期的には地域経済・地域社会の持続(と成長)につながり、地域金融機関の収益に跳ね返ってくるわけです。

地域金融機関の現場に対する下期の業績評価の物差しは、上記の与信費用コントロールに絞り込むぐらいの思い切りが必要です。100年に一度の大恐慌の真っ只中なのですから。

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