🎯現場はホームドクターたれ

「板橋モデル」として定評のある、中嶋修さん(東京都板橋区立企業活性化センター長)による中小小規模事業者の経営改善支援の姿勢は、次の言葉に集約されると思います。

★「そもそも地域金融機関の日常の活動の中でできること」

★「金融機関がこういう取り組みを日常的に行えば、ほとんどの中小企業は蘇る」

3年半前の旅芸人ブログ「風景が変わった」で取り上げた地域金融機関Xの現場は、長期化するコロナ禍にも微動だにすることなく、お客さまとの信頼関...

中嶋さんの話に共感します。微塵の違和感もありません。

さて、

旅芸人ブログでは、「板橋方式」の対極ともいえる、「融資をすれば一丁上がり、保証を実行すれば任務完了」という姿勢に対しては厳しい意見を発信しています。

借り手の「事業キャッシュフローを増やすこと、P/Lを改善すること」、ここがキモなのですが、そのための支援活動を行わないのなら、レイジーバンク/レイジー協会との謗りを免れることはできません。

~愛知県でゼロゼロ融資の利用が直近でピークだったのは、新型コロナウイルスの感染を受けた昨年6月。県と名古屋市の保証協会は合わせて約4500...

コロナ禍で苦境に立たされた事業者のために、地域金融機関や信用保証協会(→100%保証が急拡大するなかで保証機関の意識変革は必須)の現場は、すみやかに「ホームドクター」へと変身しなければならないと思います。

すなわち、

事業者の課題を見つけ出すこと、相談に乗ること、そして資金面の支援/本業面の支援に向けて動くことです。

そして、専門性の高いものについては本部を巻き込み、さらには外部連携へとつなげていくことです。

このようなことができる現場こそが「ホームドクター」だと思います。

40年ほど前、イギリスに駐在していた折には、ナショナル・ヘルス・サービス(NHS)の仕組みのなかで、風邪をひいたり、胃腸の具合が悪い時には、近所のホームドクターであるDr.ニコルのお世話になっていました。

家人が妊娠した時も初期はニコル先生が対応してくれ、ある段階から専門医にバトンタッチしました。

地域金融・中小企業金融の世界でも、顧客と向かい合う最前線の仕組みはホームドクターのコンセプトだと思います。

そして、B/Sにメスを入れるような金融支援となると本部の専門医の出番、本部の専門医の手に負えない高度治療は外部に頼むという構図が考えられます。

本業面での支援についても、ハイレベルになると内製化するのは限界があり(非効率でもあり)、外部専門家との連携は必須となります。

たとえば、販路拡大にしても、工場の生産管理の改善にしても自前でできることには限りがあり、顧客本位との視点から十分なものとはいえないでしょう。

自前主義に固執するのではなく、外部専門家ネットワークをコーディネートできるプロデューサー機能(注↓)こそがポイントであり、そこを強化するのが本部の重要な役割だと思います。

「これからの地域金融機関はホームドクターだ」と宣う金融機関経営者の方がおられますが、意見交換してみたいものです。

(注)「プロデューサー」は荘内銀行・渡邊浩文さんの言葉です。

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コメント

  1. 諏訪信用金庫 ビジネスサポート部 奥山真司 より:

    現在、外部専門医と連携している企業様の財務を振り返ると、3年ぐらい前(コロナ前)からシグナル・兆候が出ている先もあります。
    これって「ホームドクターとしては失格であった」のかな?と日々猛省しております。
    ホームドクターとしては企業様のシグナルを早期発見、早期対応が不可欠です。
    早期発見と早期対応により、外部専門医との連携まで必要な先は相当数圧縮できると考えます。
    大前提、全てではないのですが、外部専門家を交えた時点で「負け」と、自分らにプレッシャーをかけています(笑)