この数年、地方銀行の配当性向が急速に大きくなっていますが、PBRは大きくパーバリューを割ったまま、低迷しています。
「日本企業はバブル崩壊以降、売上高も従業員の給与も設備投資も横ばいのなか、配当金だけは4倍増。経営者は次の成長に向け、設備投資や研究開発、従業員に対する人的投資などに振り向けるべきなのだが、株主主権論に配慮して、株主還元で責任回避している。経営者は会社の存続と成長という義務を負っていることを忘れているのではないか」
との、岩井克人先生のインタビュー記事「〈「新しい資本主義」を問う〉過度な株主還元、見直しを」(本日の日経朝刊)には、ハッとさせられました。
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20211116&ng=DGKKZO77586990V11C21A1EP0000
社外取の端くれですが、猛省しています。
コメント
私も記事を拝読いたしました。
2019年8月に、米国ビジネスラウンドテーブルがステークホルダー資本主義の表明をしています。そこでは、企業の目的は優先順位を含めて①顧客への価値の提供、②従業員への投資、③サプライヤーとの公正で倫理感のある関係性構築、④取り囲む他のコミュニティへの支援、⑤株主へぼ長期的価値の提供、と示されました。
従来の企業の目的は、唯一「企業の社会的責任は利益の最大化」と示され、中心には1976年のノーベル経済学賞のフリードマンの思想が大きな影響を与えたのでしたが、このステークホルダー資本主義は、2001年にノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・スティグリッツの思想「株主価値の最大化は、社会的な豊かさを最大化するわけではない」を受け入れたものと感じます。25年の時間経過から、さらに20年後に経営者のマインドに革新を与え始めたわけです。岩井克人氏の問題提起と通じるものがあると思います。
コロナ禍のゼロゼロ融資の恩恵で地域金融機関は決算が一時的に好転して、「災い転じて福となる」を満喫しているように見える昨今です。流れは違うと思います。