🎯形式整えれば一件落着ではない

懸念していたことが露見しました。

中日信用金庫(名古屋市)によるゼロゼロ融資先の業績改ざん問題です。

↑中日信用金庫のホームページ

13日のYahooニュース(←文春オンライン)によれば、

https://news.yahoo.co.jp/articles/886d286fdcdb9b1d94093c8c6666556e021693b5?page=1

~「事業者がゼロゼロ融資の認定を受けるには、条件によって異なりますが、売上が対前年同期比で15~20%減少している必要があります。ところが、上層部の圧力を受けた営業職員らにより、認定を受けさせるため取引先の業績の改ざんが行われていたのです。財務局から各職員にパワハラや不正についてのアンケートが実施され、各店舗の臨店検査が2回、3回と行われるうちに、複数の職員が自白したようです」(検査官の調査を受けた営業職員)東海財務局は、同金庫で上層部から現場への圧力が常態化していたのではないかと見ている。(記事より)

そもそも、金融機関が申請したゼロゼロ融資の前提要件となる「売り上げの減少」を認定するのは「市区町村」です。

市区町村は売り上げ減少を公的に認定する「認定書」を発行、「確かにこの企業はコロナによって売り上げが減少している」という認定書の「公定力」をもって信用保証協会がセーフティ保証制度における「保証書」を発行するのです。

そう考えると、売上改ざん問題の責任の一端は認定機関の市区町村にもあるのですが、やはり金融機関の姿勢に尽きると思います。

財務局の検査によって全容が明らかになったところで、ガバナンス態勢にメスが入り、コンプライアンスを強化し、ビジネスモデル(とくに業績評価や人事制度など)の根本的見直しが図られることになるでしょうが、形式的にガバナンスやビジネスモデルに手を入れたとしても、それだけでは不十分です。

5年前の不祥事から再出発した商工中金の改革のポイントは、ガバナンスやビジネスモデル以上に、『企業風土の変革』にあったと思っています。

心理的安全性を確保し、現場職員のやる気を引き出す(→そもそも職員がやりたいことはプロダクトアウトの金融商品販売ではなく、中小企業の役に立ち地域経済社会を良くしたい)ことに、経営トップは全力投球していました。

企業風土の変革はここからだったと、いま改めて振り返っています。

今週に入って日経電子版に掲載された2つの記事。 いずれも商工中金らしい取り組みです。 「黒川温泉、旅館経営者が財務改善を議論 ...

情けないことに、中日信用金庫以外にもこのような話は少なからずあるといった声も聞こえてきます、

真相は分かりませんが、このまま放置できることではありません。

まずは、中日信用金庫の改革を、形式的な手直しで一件落着にしてはなりません。

今日は、日本経済新聞中部版(5/17)「消えた利息 融資5兆円分」を読んでの感想です。「ナゴヤ金融の今」第1部 異次元緩和から5年 (上) ...

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. ランスロ より:

    企業風土の改革は難しいです。ここまでやればよし、というものでもなく、制度として定めればよい、というものでもない。

    ややもすれば人間は水が低きに流れるように、流されていき、気が付いたら元に戻っていた、ということも。

  2. ランスロ より:

    言葉の上で「変わりました」とならなんぼでも言えるので。

    具体的な行動や有り様がはっきりと変わらないと、信用はできませんね。基本的にこういうことをやる人間は変わらないと思います。人間を変えないとダメかと。

  3. 現職員 より:

    ブログ拝見いたしました。
    ごもっとものことだと思います。
    金融機関の姿勢の問題。。。
    今の経営層にその言葉を伝えたいです。
    今、形式的に終わらせようと経営層は必死です。。。