リーマンショックによる中小企業金融円滑化法、緊急保証制度、そこに東日本大震災。
そういう時代に中小企業金融・地域金融にかかわる金融庁の監督指針が改正されました(2011年5月)。
当時、金融庁の幹部の方に伝えたことは、
「2003年から行われている地域密着型金融(リレバン)の取り組みを属人的ではなく、組織的かつ継続的なものとすること」
でしたが、このことは監督指針の改正に反映されました。
金融庁のホームページの金融審議会の資料の中に、監督指針改正(2011)の概要がありますが、
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/w_group/siryou/20111014/04.pdf
地域金融機関への監督にあたっての基本的考え方として、
「地域密着型金融をビジネスモデルとして確立」
とあり、その一本目の柱として、次のように書かれています。
→「自らの規模や特性、利用者の期待やニーズ等を踏まえて自主性・創造性を発揮しつつ、中長期的な視点に立って組織全体として継続的に推進」
もう一つの柱は、
→「経営陣が主導性を発揮し、推進態勢を整備・充実(本部による営業店支援、外部機関等との連携、職員のモチベーション向上に資する評価、人材育成・ノウハウの蓄積等)」
ですが、外部機関等との連携を入れた経緯が、TKC月報最新号の、遠藤さん(もと金融庁長官)とTKC全国会・坂本会長の対談記事の中にあります。
「これまで金融行政の改革が進められてきたわけですが、その起点は、平成23年(2011年)における地域密着型金融(リレーションシップバンキング)の推進に関する監督指針の改正にあります。当時、中小企業金融円滑化法の期限が迫る中で、地域金融機関がいかにして企業に向き合うべきなのかについて、金融庁内でもさまざまな議論を行っていました。そのときに、金融機関だけで十分な付加価値を地域企業に提供するのには限界があり、外部専門家の方々の力を借りなければ難しいのではないかという仮説のもと、実態を調べてみることになりました。私は地域金融担当の監督局審議官で、数名の課長補佐クラスの若手でチームを作って一緒に全国各地を回りました。その結果、地域企業のサポートに優れた金融機関は、その地域における優れた外部専門家の方々と上手く連携していることがわかりました。つまり、税理士をはじめ中小企業診断士や商工会議所の経営指導員の方々など、高い志をもって地域企業のために努力されている優れたキーパーソンとネットワークを築いていたのです。」
ポストコロナに向けての中小企業金融・地域金融が問われている今、2011年を振り返ることで、改めて地域密着型金融の徹底、さらには外部連携を駆使した「総力戦」の重要性を痛感します。
ところで、
2011年との違いは、
〜小規模事業者の痛手が大きいこと、
〜金融機関の現場力が落ちていること、
〜金融機関の体力(含み益)、収益力が低下していること、
〜そしてゼロゼロ融資等による全額保証の急増で地域最大の信用リスクを抱えることになった信用保証協会がキャスティングボードをにぎっていること、
〜その信用保証協会は2018年の信用補完制度の見直しで経営支援業務の重要度が増したこと、
です。
信用保証協会の経営支援業務の二極化現象については、旅芸人ブログで何度も触れていますが、標榜しても実行の伴わない信用保証協会はなぜ覚醒しないのか‼️