9月22日のジンテックセミナー「『誰かが決める金融』からの卒業」での話の準備をしています。
当然といえばそれまでですが、「プリンシプルベース」という言葉に突き当たっています。
プリンシプルベースについては幾度となく発信しています。
金融検査マニュアルの廃止や、この数年の規制緩和は、地域金融機関に対して、「誰かが決める金融」すなわち「行政がルールを決める金融」からの脱皮を求めているのですが、
金融機関が「自ら決める金融」を進めるにあたっては、プリンシプルベースが絶対条件です。
金融におけるプリンシプルとは「法令等個別ルールの土台にあり、各金融機関等が業務を行う際、また当局が行政を行うにあたって、尊重すべき主要な行動規範・行動原則」なのですが、
プリンシプルベースの業務運営なくして、ポストコロナの地域金融、中小企業金融を担うことはできません。
このことが理解できない、誰かが決めるルールを待つ姿勢を変えようとしない、ルールの隙間を突いて顧客本位とは真逆の行動を現場に強いる、優越的地位をちらつかす、このような地域金融機関の経営には退場してもらうしかありません。
コメント
嘗て金融行政は護送船団方式を伴って「箸の上げ下ろしまで」指図するスタンスだったと聞いていますが、これから中小企業金融に当たっては、画一的なルールベースの規制ではやっていけないことは明確です。
これまでは官主導で資金を流して行けばよかったのですが、これからはそれぞれが資金をどう提供すべきかを模索し、それがひいては産業や生産組織、経済を形作ることになる。
言わば目指すべき原理原則を念頭において、それを達成するために何が必要かを考えて、自らの行動を律しながら、主体的にサービスを考えていく必要があると思います。
プリンシプルベースの意味すること狙いについて、多胡先生がどれほど繰り返し考えてきたか。今回添付されたブログを見ただけでも、地域金融機関の役職員に理解してほしいという願いが感じられます。
2018.7.20のブログでベターレギュレーションの意味することが10年前は理解できなかったというお話をされております。多胡先生でも中々真意を捉えにくい言葉が、バブル崩壊後やたらに多くなったのではないかと思うのです。
つまり「カタカナ言葉」です。多分これらの多くは学術用語ではないかと思っています。バブル崩壊後の金融政策については、アメリカの研究にその方向性を見つけようとキャリアの方は努力されたのだと思います。
ただできれば、横文字でなく、日本人の感性で理解できる言葉に置き換えてもらえたならと思うのです。カタカナが多すぎませんか?リレバン トラバン コンプラ ガバナンス ベンチマーク ビジネスモデル PDCA KPI CSV等々。
金融行政転換後の当時、役員がカタカナ辞典を買って理解しようとしていましたが、結局匙を投げていました。
今はどうか?言葉には慣れたでしょう?しかしその言葉の意の理解は千差万別と私は思っています。多分金融用語カタカナ辞典を見ながら読み込んだとしても、核心となる筋を理解できるかというと疑問です。私自身も。
専門用語は学者間にあっては有用なものと思います。意味合いの深い内容を単語一つに置き換えることができるのですから。
でも一般の仕事人間には理解しがたいものです。
受ける側がよく理解できるのは、多くの意味を含まない核心を突いた言葉です。
発する側には、相当の覚悟が必要になると思います。
銀行業務改善隻語。これは、プリンシプルに値する本ではないでしょうか。