27日の日経電子版
「地銀に人的資本開示の波 若手の離職に危機感も」
は、この視点からの力の入った報道が今までなかったことから新鮮です。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB244GA0U2A021C2000000/
こういう記事を待っていました。
さて、
ワタシが地域金融機関の人的資本に関する情報開示のイチオシはこちら↓。
とにかく、群を抜いています。
https://www.wakashin.co.jp/04disclo/year-2022_2021-r03-78/78_04.pdf
人財育成の制度、取り組み、具体的な内容が詳細にわたり記載されています。
働きがい・働きやすさに関わる直近データも“5期”にわたり、公表されています。
もちろん、中途退職者の人数、その平均勤続年数も開示してあります。
人的資本の重要性が語られる昨今ですが、この金融機関のような人財に関する情報開示は、他にどこかあるでしょうか。
コメント
人的資本はあくまで「手段」でして、「目的」は、人口減少時代だからこそ求められる「付加価値の提供」「生産性の向上」にあるのです。つまり我が社に入れば「良い思いができますよ」、「勉強できますよ」ではないのです。その成果を付加価値と生産性において、より厳しく発揮していただかなくてはなりません。株主が求めるのも企業価値(人的資本に裏付けられた)の向上のはず。
人的資本を重視する稚内信金は手厚い施策を講じますが、ある意味の代償として職員である間は、自宅を購入できません。転勤先に家族もろとも引っ越さなくてはいけない。お子さんは少し寂しいかもしれませんが、転校先での出会いもある。何より、人口減少の地域に移り住み、生活し、消費し、悩みや喜びを分かち合う究極の自分事こそ、相手や地域への無言の説得力となります。
心理的安全性も同様。ダラダラ、なあなあに、仲良くやりましょう、という甘ったるい話では全然ないのです。忖度ゼロ、社内政治ゼロの激論でやりましょう、という心理的安全性厳格原則なのです。手段と目的を混同してはなりません。大体、日本語訳で失敗しているケースが多いですね。
つまり、組織自体もメディアも監督官庁も「手段としての人的資本」をみるだけでなく、結果であり目的である「付加価値」「生産性」をよりしっかりと見ていく必要があります。
人的資本、心理的安全性は、人口増加社会では顧みられる必要はありませんでした。人口減少時代、持続可能性が問われる社会だからこそ、問われるようになったのです。環境変化への適応を現在進行形で、我々は歩んでいると考えてよいでしょう。