地域金融機関は業務範囲が広がる中で、いまや業務の「選択と集中」を考えねばならない段階にきています。
12月2日のブログでは、この視点から預かり資産業務について(とくに二番手以降の金融機関についての)書いていますが、
「捨てる業務はお客のためにならないこと」
との、シンプルながら非常に重要なメッセージが、一年前に発信されています。
昨年のジンテックセミナー「両利きの地域金融」第3回のパネルディスカッションの場においてです。
改めて、ジンテックのホームページのアーカイブでその時のことを振り返ってみました。
パネラーは杖村さん(北國銀行頭取、当時)、榊田さん(京都信用金庫理事長)、山本さん(広島市信用組合理事長)の3人。
最後の締めのところで、モデレーターの橋本さんが質問をします。
「経営者として何をやっちゃいけないのかを伺えますか。」
山本さん「あれもこれもしない。やるターゲットを絞って複雑にしない。捨てる経営です。先ほどの投資信託、保険も捨てるんです。」
榊田さん「顧客本位か業績優先かでいうと、意味のないことはやらない。本当にお客さまのためになることしかやりません。」
杖村さん「1番にやるとか、2番にやるとか、そういうことを考えない。あえて周りを見ない。自分たちで考えて、議論して進めていくために、考えなくなるようなことは見ないようにしています。他がやったからやるんではない。周りではなくて、お客さんを見る。」
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地銀であれ、信用金庫であれ、信用組合であれ、業界フロントランナーの経営トップのスタンスは同じです。
多くの地域金融機関の経営者は「選択と集中」という言葉を軽々と口にしますが、ほとんどの場合、空虚にしか響きません。
個別業務の採算すらわかっていない(←ヒューマンアセットやリレーションキャピタルといった無形資産資本も勘案した)、そこに見栄や横並び意識が加わる。
そういうなかでの「選択と集中」、
できっこありません。
もっと真剣に経営を考えていただきたい。
コメント
優れた経営者は、何をしないのか、何をやめるのかが先に来ます。何かをやるにしてもシステムや営業ノルマや債権管理をやめなければ、到底できるはずもないからと考えます。
本文中に、わたくしの所属している信用組合業界の山本理事長(広島市信用組合)と「選択と集中」というお言葉がありましたので、インターネットで調べてみたところ【徹底した訪問活動で現場主義を貫 く広島市信用組合 】という記事があり、すごい内容だったので共有させてください!以下URLです↓
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/f1903fin.pdf