🎯経営の知識は必須か?

「ワークマンがユーチューバー起用 社外取の資質巡り議論に~商品開発に知見も経営経験はなく」

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20230516&ng=DGKKZO71018900V10C23A5TB0000

ワークマン(作業服大手、東証スタンダード上場)がユーチューバーの浜屋理沙さんを社外取締役候補とすること、

これに関する議論には考えさせられました。

以下、記事より抜粋します。

~女性向け中心のアウトドア衣料店「#ワークマン女子」の火付け役でもある浜屋氏の視点を経営に取り入れるのが狙いだ。(中略)ワークマンは2019年に浜屋氏を「公式アンバサダー」に起用。「消費者の厳しい目を持つワークマンのご意見番」(土屋哲雄専務)として、無報酬で情報発信や商品開発に協力してきた。

~社外取締役の役割については、経済産業省が20年に実務ガイドラインを定めた。「経営陣から独立した立場から経営の監督を行う役割が期待されている」とし、経営陣の評価や持続的成長に向けた経営戦略の検討などを求めている。東京都立大の松田千恵子教授は「社外取締役は経営監督の重責を負う。どんな経歴の専門人材でも、経営の知識は必須」と指摘する。浜屋氏はシステム営業や衣料品のインターネット販売事業を手がけたことはあるが、企業経営の経験はない。

~アンバサダーを務めていた人が独立した立場で経営の監督をできるのかとの見方もあるが、小浜英之社長は「公認会計士や弁護士の社外取締役もいて役割分担できている。新しい社外取締役のあり方に挑戦したい」との考えだ。

~中央大学の丸山秀平名誉教授は「社外取締役は個人的な地位を離れた立場から、会社の中長期成長や株主全体の利益と相反する行為がないかを監視すべき立場にある。創業家や支配会社の意思が強い会社ではきちんと反対意見を言えるかも重要だ」という。

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私事ですが、19年前に東証一部上場の地方銀行の社外役員に声をかけてもらったとき、ワタシには企業経営の経験はありませんでした。

それまで、銀行経営のコンサルティングの仕事をしていましたが、実際に銀行の経営の中枢に入ると、会議体のあり方、経営陣の考え方の多様性、ヒトの集合体である組織がどのように動くか、などなど、外部コンサルには届かない世界があることを痛感しました。

経営コンサルタントとしての、ワタシの経営の知識は頭でっかちの机上のものだったのです。

社外役員の経験がワタシ自身を大きく成長させてくれたと思っています。起用してくれた当時の経営者には感謝以外の言葉はありません。

さて、

企業経営の経験が、社外取の必須条件とは思いません。

社外取のメンバーは多様性があることが重要で、企業経営の経験も、士業(会計士や弁護士)の経験と同様にダイバシティの一つです。

経営の知識は社外取の仕事を行うなかで、身につけていけば良いと思います。社外取の一大勢力である学者や士業の人たちには生きた経営の知識があるとは思えません。コンサルタントもです。

企業経営の知識があるか以上に、自分ごととして当事者意識を持って真剣に取り組む姿勢があるか、そこにかかっています。

今日は関与している地方銀行の投資家向け説明会です。 この手の会では珍しく社外取締役も出席します。 ワタシは、株主総会の選任議案...

コメント

  1. 北白川智 より:

    経営知識は社外取締役の仕事を行う中で身に付けていけばよい、との趣旨に賛同します。
    経営知識が欠かせないのはその通りですが、弁護士や会計士の社外取締役を経営のプロとして選任しているという経営者がいたらお笑いです。
    士業の方々は専門的な知見を背景として、経営判断を誤らないよう意見具申を求められているのだと思います。

    ワークマンの場合、消費者との距離が近く、生活密着の事業を行なっているわけですから、生活者あるいは衣料品の機能に詳しい人材が社外取締役に任用されることに違和感はありません。
    服の使い勝手をよく知る面においてまさしく「専門的な知見」が発揮されるのではないでしょうか。
    経営知識を積み重ねていただくことで、社外取締役の役割をより的確に果たされるよう大いに期待します。