6月28日に公表された「金融仲介機能の発揮に向けたプログレスレポート2023」、
https://www.fsa.go.jp/news/r4/ginkou/20230628/20230628.html
それに関する報道をしないメディアの姿勢は理解しがたいのですが、旅芸人なりの感想を述べてみましょう。
一言でいえば、地域金融・中小企業金融に関し、大事なポイントが漏れなく押さえられていると思います。
まず、総力戦連携がしっかり書かれています。昨今、特定の組織に無理やりスポットライトを当てるような某行政側からの事業者支援に関する発信に対し違和感を持つ旅芸人としては、本レポートのフェアーで的確なところを大いに評価します。
次に、7回目となった企業アンケート調査ですが、金融機関からの融資以外のサービスを受けた理由のうち、「金融機関からの提案を断れなかった」の比率がそれなりにあったのはさもありなん。
さらに、金融検査マニュアル廃止から3年半経過したにもかかわらず、引当方法はほとんどの金融機関でマニュアル時代からあまり変わっていないのは予想通り、とはいえ残念。
旅芸人は、金融検査マニュアルの廃止に向けての金融庁のすべての有識者会議に参加しました。
議論の結果は融資ディスカッションペーパー(融資DP)としてまとめられたのですが、
コロナ禍からの事業再構築、再チャレンジを後押しする上で、重視しなければならない箇所は融資DPの「34ページ・BOX4↓」のところです。
この部分のツッコミが弱かったのはもったいない。
そして、
本レポートのメインテーマといえるのが、
「地域金融機関のガバナンスと人的資本」
13ページにわたって書かれています。
ここは地域金融機関の経営の皆さんに、とくにしっかり読んでもらいたいところです。
およそ20年間にわたり5つの金融機関で社外役員を務めた経験から、
「いくら強力な社外役員を配備したとしても、執行サイドに本気度がない限り、空回りするだけ」
と痛感しているワタシは下記の記述に思わず膝を打ちました。
「社外取締役が発言しても、その場で表面的な受け止めが示されるのみで、その後の対応についてフィードバックを行っていない例(も見られた)」(本編57ページ、サマリーにも記載)