「地銀にとって無利子融資を機に、これまで取引のなかった企業とのつながりが生まれるチャンスだ」
3年数ヶ月前にゼロゼロ融資が登場し、残高が急増する中で、このような有識者コメントが日経に掲載されていて↑、爆笑しました。呆れましたねぇ。
コメントする人間もそうだが、そんなコメントを掲載する方も少しは考えてほしかった。
ゼロゼロ融資の対象となった層の小規模事業者を従来から資金面で面倒をみていたのは、協同組織金融機関です。
協同組織金融機関のネットワークが脆弱な地域では地方銀行がその役割を担っていますが、実質的に信用保証協会に任せていると思います。
ところがゼロゼロ融資が登場するや、日頃の取引関係のない、もしくは取引関係の薄い小規模事業者に対し、資金需要などお構いなしにゼロゼロを流し込んで融資残高を積み上げた恥知らずの地銀が少なからずあります。地域によってはゼロゼロの利子補給が異常に高く設定されており、神風の吹いたような決算となった地銀もあります。(はい、あそことあそこです。)
誰しもが予想した通り、冒頭のコメントは質の悪いギャグでした。
地方銀行がゼロゼロでのつながりを機に小規模事業者との取引関係を深めた、などという話は聞いたことがありません。ゼロゼロ流し込んだら最後、見向きもしない。
いまゼロゼロの返済が始まるなかで、小規模事業者と真剣に向き合っているのは信用保証協会と協同組織金融機関です。
ただ、そうではない地域があることも事実。
昨日、某所で聞いた話は、信用保証協会が経営支援業務にそっぽを向き(→札付きのレイジー協会です)、従来からのメインバンクである信用金庫は保全に躍起になっており、見るにみかねた政府系金融機関が資金繰り支援に入るというものでした。
こういう地域の財務事務所にはしっかりみてもらいたいもの。金融行政方針2023の地域金融の項に書かれているのは、地域金融機関の「事業支援の強化」と「経営力を問う」なのですから。
さて、
旅芸人ブログでは、信用保証協会を核にした総力戦連携の必要性を訴えていますが、
対象の多くは小規模事業者ですから、金融機関については協同組織金融機関の本気度が問われます。
実際、先進的な信用保証協会は、経営支援の視点から協同組織金融機関との連携を深めています。
メディアからの発信(→地元のお客様に知ってもらうことは非常に重要)も含め、協同組織金融機関との連携で際立っているのは、旅芸人ブログで何度も発信している通り、
石川県と栃木県だと思います。
昨日のニッキンオンラインには、栃木県の信用組合と信用保証協会による「業種別支援の着眼点の活用について」の勉強会の模様が書かれています。
~栃木県信用組合協会(塚田義孝会長=真岡信用組合理事長)は9月22日、「業種別支援の着眼点の活用について」の勉強会を那須塩原市で開催した。真岡、那須各信用組合の融資担当者や渉外係、宇都宮財務事務所、栃木県信用保証協会関係者ら60人以上が参加した。(記事より)
https://www.nikkinonline.com/article/132838
信用組合が信用保証協会、財務事務所のサポートを得て、経営支援に関わる職員のスキルアップの研修会を行ったのは昨年9月のことですが、
この続編ともいえる勉強会です。
意識の高さに感銘を受けています。