🎯顧客目線の薄い保証協会の保証料は引き下げの余地あり

「経営支援よりも保証残高を増やすことばかりに目が行っているからですよ」

経営支援の話題に乏しい某県信用保証協会について、業界の方たちに聞いたときの反応です。

事業者にしっかりと向き合うことで、結果として保証残高増というのであれば分かるのですが、金融機関に営業することで残高を増やそうとしているらしい。

なるほど、事業者目線じゃないんですね。

こういう芸当は事業者数の多いところでよく聞く現象です。たしかに事業者数の多さと経営支援業務の熱心さとは反比例しているように感じます。大阪のような良い意味での例外はありますが。

それで保証業務といえば、CRDのスコアリングモデルで財務内容を確認した上で、信用保険の要件に合致するかどうかをチェックして完了。業界の方々から本音ベースで話を聞けば、AI導入でマンパワーは大幅削減できる。

このように考えると経営支援業務をおろそかにしている、顧客目線の薄い信用保証協会の保証料は引き下げの余地が十分あるのではないか。

役職員の雇用や処遇は知らんけど。

信用保証協会の保証料について、ある方に聞いたところ、 石川県信用保証協会の発行している「信用保証クイックガイド」に、 ...

コメント

  1. 田尾 より:

    保証審査はAI導入で、マンパワー大幅削減できる?
    保証審査業務への冒涜で上から目線も甚だしい。
    寺岡先生のご意見を伺いたいものです。

    • 寺岡雅顕 より:

      田尾様
       このようなご指名いささか戸惑っております。

       しかしながら、「保証審査業務への冒涜・上から目線」は置いといて、生成AIについては小生も大きな関心を持っていることから、浅学ながら現時点の意見を述べさせていただくことにしました。以下、生成AIについては全く素人で、審査畑で飯を食ってきた偏った人物の独り言と思って、ご笑読ください。

       まず最初に、「生成AIでの稟議作成について大手地銀で実証実験が始まった」というお話がありました。それを聞いて「自分なりに考え方をまとめたもの」がありますので、最初にそれを転記させていただきます。原文のまま転機いたしますので、「である調」であることをお詫びいたします。

      ◆◆◆
      【まさか❓️❓️❓️】
       まさか、「取り上げ可否の検討と判断まで生成AIに任せる」ということではないだろう。

       生成AIで稟議を書く実証実験が、某大手地銀で始まってるらしい。

       稟議を書く場合、その前に「取り上げ可否の判断、条件の検討」を行う。それが決まってから稟議作成の作業になる。それまでの過程が最も重要。投資家の立場ではなく、税務会計で決算書が作られる中小企業には、特に重要である。

       最後の過程が「稟議を書くという作業(まさに作業)」になるが、考えがまとまった段階で作業が完了しているというものなら大歓迎である。

       生成AIの稟議利用、もう少し情報が欲しい。

       「稟議を書くことと、そこに至るまでの過程」を一緒くたにして「作業とくくる危険」を感じている。

      ◆◆◆
      【意見を付け加えます】
       以上を踏まえて、小生なりの意見をいくつか付け加えさせていただきます。

      ①まず最初に、生成AIは、「手持ちの情報から規則性を見出し答えを導き出す優れたもの」だと認識しています。

       人の思考では見落としてしまいがちな法則性等も、的確にあぶりだしてくれる可能性があります。とすると、上手に使えば突然死(正常先からの突然の破綻)はかなり減少する可能性を秘めていると考えています。

       一方で、経験的な話で恐縮ですが、「特徴があり抜け出す可能性のある企業(こうした企業は過去の規則性法則性から外れる企業が多い)を見つけ出すことは難しい」のではないかと感じています。生成AIがもつ情報は過去のものであり、その法則性が将来に当てはまるとは言い切れないと感じているからです。

       「(尊敬する某金融機関トップから頂いた言葉ですが)「われわれの責務は、鉛筆なめて今良い所を探すのではなくて、これから良くなるところを探すことだ」と考えています。生成AIにそこまでの能力がすでに備わっているのか否か、まだまだ「研究段階にある」のではないでしょうか。

       この点については知的資産経営に係る部分であり、生成AIといえども踏み込むのは困難ではないかと感じています。また、経営者の人柄経営手腕等の評価も同様です。

      ②金融機関のマンパワーには限りがあります。効率を図ったうえで、人の力はもっと違った場所に振り向ける努力と研究を続ける必要があるということです。

       しかし、「事務コストの削減にはつながったが、与信コストが増加した」では本末転倒です。過去、「スコアリングモデルを導入する度に与信コストが増加した」というお話はあちらこちらでお聞きする話です。(勿論その都度スコアリングモデルも進化してはいますが・・・)

       生成AIは「お掃除ロボットの開発」とは次元の違う可能性を秘めています。「粗悪品に対する嫌悪と、仕事を失う不安から暴徒化した機械排斥運動」とは違う一面を持っていると感じています。

      ③(これに関連して)三つ目は、人材育成の問題に懸念を感じています。

       生成AIはおそらく今後一層進化を続けていくと思いますが、最後は人が判断する必要があると私は思っています。言い換えると、常に生成AIを使いこなせる判断力を持った人材の育成が欠かせません。これは至難の業です。なにがしかの「監視の目」が必要かもしれませんね、

      ※某大手地銀にて、慎重に実証実験が行われることを期待しています。融資に関する結果は5年~10年の時間軸で考える必要があります

      • 生成AI より:

        田尾さま
        「保証審査業務に対する冒涜で上から目線も甚だしい」という表現をされていることに対して、非常に残念でなりませんのでコメントさせていただきます。

        金融機関の業務には強い熱意とプロ意識が求められますが、そのような言葉遣いと思いがお客様との関係において用いられた場合、お客様との信頼を大きく毀損する恐れがあります。田尾様が日々の業務、そして「上から目線のコミュニティー」で俯瞰しているからこそ、出たコメントではないでしょうか。私は心配でなりません。

        金融機関の使命は、お客様に最適な金融サービスを提供し、その期待に応えるために日々邁進することです。残念ながら、保証審査業務はその一部にすぎません。
        お客様が私たちを頼りにしているすべての業務に、謙虚かつ覚悟を持って取り組むことが金融のプロフェッショナルとしての基本であると考えます。どの業務も重要であり、その重要性を謙虚に認め、お客様のニーズに応じて耳を傾けることが、継続的な金融取引に繋がると考えております。

        田尾さんの経験と知識は貴重であると思いますが、言葉ひとつでお客様の心を離させることもあります。私たちが金融機関としてお客様に提供できるのは、資金の貸出だけではなく、信頼と安心です。そのためにも、私たちのコミュニケーションは、常にお客様の立場を尊重し、言葉使いも含めて謙虚になることが重要であると考えます。

  2. 山猿 より:

    いわゆるAIについて実際に調査や審査でどのように使うかという議論もなくて、加えて生成系AIが丸ごと人間の代わりになるのかならないのかというところまで飛ぶと、もうSFチックになって収拾がつきませんね。
    調査段階において具体的なデータセットで事前の資料作成を簡略化して、難しい案件を生成系AIで上手く成文化、ビジュアル化して審査の目に適うものにする、みたいな使い方をすれば相当なマンパワー(ヒトが使う時間っていう意味でも)削減になりますね。そして融資でも保証でも『やって終わり』じゃなくて、そうして創造した時間をお客様のフォローに使えばいいです。

    もちろん複雑な考察をして着地点とか到達点を定めていくのはヒトの脳みそですよ。それをもっとたくさんのお客様に使っていくためにも効率化は絶対的に必要です。これを否定される方はどこにもいないと思います。
    小生、脳みその動きがヒトより悪いので、生成系AIをバンバン使って考える時間をもっとたくさん作りたい派です。

    まぁRPAひとつ入れるだけでもかなり変わってきます。もちろん使い方によりますけど。

  3. 橋本卓典 より:

    業務効率化から目を背けるのは、時代錯誤です。「人間にしかできない」と決めつけるだけでは進歩ゼロ。人間仕事を美学とするのではなく、融資や保証が一体誰のためにあるのか、顧客本位性に目を向けるべきです。顧客の生産性向上にとって最善とは何かを常に追求し続けることが、対価をいただく存在として当然かと。

    スマホも自動車も使わないのですか?極端な話ではなく、人類は常に旧態依然からの脱却で進歩を続けるのです。

    手段を目的化してはなりません。目的のためには一部でも手段を変えていくことが必要です。

    そもそも顧客事業者からしたら、3~4週間かけて融資する現状が異常なんですよ。ペイペイなどの台頭を鑑みて、現状が生産性をどれ程貶めているか、理解されるべきですね。

  4. 奥山真司 より:

    僕は数ヶ月前からですが、生成AIをめっちゃ活用しております。生成AIとはテキストや画像、音声などのデータを自動的に生成する人工知能のことです。よって生産性や付加価値の向上などに寄与していると実感しております。しかしながら、生成AIはあくまで人間の補助的な役割を果たすものであり、人間の専門知識や経験、創造性や判断力を代替することはできません。もちろん、人間のように感情や意思を持っていませんし、自分で考えたり判断したりすることもできません。山猿さんがご指摘しているとおり、AIが丸ごと人間の代わりになるのか?ならないのか?というところまでぶっ飛ぶと、もうSFチックになって収拾がつきません笑
    本ブログではAIを活用してベースとなるお客様の情報を素早く纏め上げ、疎かにしているお客様との対話に時間を振り向けることが重要であると警告しているのではないでしょうか。

  5. 海猫 より:

    AIというより山猿さんのおっしゃるRPAの範疇かもしれませんが
    現状調査や審査に至るまでの事務処理が煩雑です。
    必要項目や書類の確認、データ登録等膨大な事務に毎日追われています。
    その大部分をAIが「手伝って」くれたら…
    リソースはお客様と向き合う時間に充当できます。
    窓口業務を担当する現場からの声は「道具を上手く使って」時間を捻出したい、です。

  6. 久福 より:

    デジタル化の遅れている組織では、融資審査にしても保証審査にしても紙の山。担当がお客さまにしっかり向き合った付加価値の高い業務をしたくても、二度と利用されることもない情報を記した紙の資料作りに追われる毎日。AIやRPA等に作業は任せてお客さまに向き合う時間を捻出できている組織と、デジタル化が進まず作業に追われている組織。僕が利用する側なら前者にお世話になりたいです。

  7. 宮仕え より:

    AIと言った時に、生成AIの話をしているのかそうでないのか区別しないと議論そのものが無意味だと思います。人間の代わりを生成AIができるというのは山猿さんも指摘されているようにSFチックで、質問の与え方も含めそれを使いこなす人間の力量次第ですが、(普通の)AIで代替できるような作業しかしてない人、それで仕事した気になっている人は居心地悪くなると思います。