金融検査マニュアルの廃止によって、「過去から未来へ」、「回収から支援再生へ」という方向性が鮮明になったタイミングをとらえ、島根県信用保証協会は松江シンポジウム2020を開催しましたが、
こういう局面にも関わらず、金融供給者たる金融機関にも信用保証協会にも支援再生人材は圧倒的に不足していました。
当時、島根県信用保証協会は支援再生人材が質量ともに充実している稀有な金融の担い手であり、彼らでなければこのようなシンポジウムを実現することは難しかったと思います。
この業務では取引金融機関や信用保証協会が一体感をもって取り組むことが求められることから、ライバル関係にある金融機関同士であっても、支援再生の業務を担う人たちの仲は良く、情報交換も密になされています。
シンポジウムでは支援再生人材のネットワークを構築し、輪を広げ、その流れで人材層を広げていくことへの強い期待がありました。
昨日のブログ「松江シンポジウムの意義~地域金融変革の源流」でも書きましたが、
松江シンポジウムが、
~ポストコロナに向けた事業者支援のキーワードである「総力戦連携」へとつながっていったこと、
~事業者支援のための「知見共有」、それが発展する形で「業種別支援の着眼点」へと結実したこと、
への契機となったのは間違いありません。
さて、
「知見共有」から「業種別支援の着眼点」へと発展させ、そこから、実質的に地域金融行政の変革へと導いていく。
こういう展開を組み立てて実行していく、金融庁の行政手腕は見事としか言いようがありません。
考えれば考えるほど、「業種別支援の着眼点」を生み出した思想こそが、「金融行政の質的転換」そのものだと思います↓
でも、
多くの金融関係者は「金融行政の質的転換」に、果たして気づいているのでしょうか。
金融行政のステージが完全に変わってついていけない、変化を認めたくない人たちも多いのではないでしょうか。
金融の担い手のみならず、行政自身の現場も含めてです。
何ごともレガシーにしがみついたら終わりです。
脱皮できない人たちは取り残されていくだけ。
それにも増して、事業者からすれば、たまったものではありません。
コメント
これはまさにおっしゃる通りです。
コロナ禍が大きかったのですが、地域金融が獲得した抗体があるとすれば「損益改善した具体」が決定的に重要だと気づき始めたということです。四の五の言っても事業者の稼ぐ力がすべての源泉で、人口減少時代ならなおさら避けられない命題です。
そしてこの問題は、中小規模の金融機関に限った話ではなく、地域トップ地銀ですら共通の悩ましい話となっています。
すなわち、正常先の下位、もしくは要注意先が、さらに落ち込んでいく未来を変える力がない、なす術なしという切実な現実です。それくらい企業支援人材が弱体化しているのです。
貸せるか貸せないかという人口増加社会モデルはサステイナブルではありません。「貸した金を返してもらって、また貸せるのか」という前提が揺らいでいる以上、事業者が稼ぐ力を引き上げる具体に目を向けるしかありません。業種別支援の着眼点こそが、金融行政の質的進化の象徴だろうと思います。
→「損益改善の具体」でした。