8日夕刻の日経電子版、
内容に目新しさはないけど、信用保証協会の活動をメインとして日経が取り上げたことに意味があります。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB17BU10X10C24A1000000/
~岐阜県信用保証協会は保証付き融資が借入金全体に占める割合が高い事業者を抽出し、優先して支援する取り組みを始めた。企業訪問の際に地元金融機関を原則同行させ、融資先の課題を共有する。人手不足の企業には「人材確保センター」といった専門機関を紹介するなど迅速に支援する。岐阜県保証協会のポストコロナサポート室の宮田昭彦室長は「ゼロゼロ融資の返済が始まる半年前をメドに融資先を訪問するよう心がけている」と話す。22年2月から23年12月までに訪問した企業数は約1500社にのぼる。(記事より)
記事全体を読んで感じたのは、再生支援との書きぶりばかりで、その前の経営支援(こちらが圧倒的多数)の重要性に関する記述が欠落していること。
また、
ここの部分↓も『総力戦連携』まで踏み込んでもらいたかったですね。
~保証協会と地域の金融機関は連携しながら、支援の網から漏れやすい企業の事業再生を促す役割が求められる。(記事より)
まあ、
取材を重ねていただき、次に期待。
コメント
この業界に身を置くものです。
各地で保証協会が事業者さまのため奮闘していると聞き及んでます。
経営支援とは地域総力連携で事業者のPL改善に取組むことであり、抜本再生の前にいま事業者に対し、行わねばならぬこと。日経記事ではこの点にフォーカスしてほしかったです。
経営支援と事業再生について、意見を述べます。
今、中小企業支援の現場で、圧倒的な数の企業に対して、日々取り組んでいることは、収益力改善を中心とした「経営支援」です。抜本的再生を伴う「事業再生」は、相応の規模を有す企業が対象で、かつ、その中でもほんの一部の話です。
中小企業の経営支援において、まずは販管費を中心とした経費を削減できないか、次には原価の低減を実施できないか、そして売上を上げるために価格をあげられないか、さらには最も難しいことですが、売上を上げるために量を増やせないかと、日々、頭を悩ませています。
まずはこの点の「経営支援」にしっかり取り組まなければ、抜本的再生による「事業再生」をしたところで、二次破綻につながりかねません。
「事業再生」よりもまずは「経営支援」に着目していただきたいものです。
地域金融を感じるものとして経営支援の重要性は痛感致します。PL改善に踏み込み取り組むこと、そして、事業をしつかりとらえる『対話』、まず、対話と行動から始め、特に企業の強みを理解して地域への波及を促す。財務と非財務を連動させ地域総力戦で企業価値向上に取り組むことが肝要かと思います。企業の課題は多いかと思いますが、1社でも多く、対話、行動し、『総力戦の実例』を創造していくべきです。
経営支援を通じて中長期の信頼関係を構築していくこと、これこそ、企業、地域金融、保証協会、それぞれにおいての価値創出であり意義のある活動だと思っています。
経営支援とはまず対話であり、抜本再生の前に、今、事業者に対し行わねばならないこと、日経記事ではこの点にもフォーカスして欲しかったです。
多胡先生のブログをいつも読んでいる方々や、更にはここに書き込みをしておられる方々は、日々事業者様と向き合ってその経営改善のお手伝いを一生懸命されている方々が圧倒的に多いと思います。そういう方々の現場では、いわゆる抜本再生とここで定義される経営支援との間に壁はありません。厳しい状況に陥った事業者様と共に経営改善に注力している中途で抜本に移行するケースもありますので、皆さんの頭の中にはそのシナリオも常にあると思います。
ただし、数で言えばそのケースは圧倒的に少ないです。上で「一保証協会職員」様が書いておられたように、我々のお客様の多くが実質的に抜本の対象となりません。これも多くの方々がご存知の事です。
なので、我々は毎月毎週毎日のように日々事業者様の元へ出向き、資金繰りを毎回確認しながら損益の改善のお手伝いをし、必要な資金を投入して何とか事業存続を図るためのお手伝いを続けています。
できれば記者の方に、当方の現場に1か月ほど見学にいらして頂きたいものです。
先日、別の部署で7年前にお手伝いをさせて頂いた事業者様が突然訪ねていらっしゃって、『おい!債務超過もとっくに解消して経営も順調、ついでに息子に会社を譲ったわ!ざまぁみろ!』とニコニコしながら1時間お話して帰られました。損益の改善に徹底的にこだわり、キャッシュをしっかり確保して借入金もいまは当時の3分の1。経営改善に注力した結果です。涙が出ました。実話です。
ゼロゼロ融資は、個別事業者様の経営責任によらない「コロナ禍」により売上が蒸発した事業者様の資金繰りを支えたものです。
昨年5以降、順次3年間の無利子期間終了とともに元金返済が開始され、政府は8月「挑戦する中小企業応援パッケージ」を公表し、「経営改善」「再生」「再チャレンジ」と3つのフェーズに分け、重点施策を取りまとめました。
この3つのフェーズは、いずれも重要性は高いものですが、潜在的な要支援先様(=倒産予備軍とは呼ばないです)の数と支援者側(金融機関、支援機関)の量と質から、「緊急性」は経営支援→再生支援→再チャレンジ支援と考えます。
ゼロゼロ融資の返済本格化(基本的には収益返済)に対しては、時間との戦いとなります。
重要性、緊急性とも高い経営支援には、個別組織における支援人材の量と質をカバーする「総力戦連携」が極めて重要となります。
質をカバーする上で使わせていただいているのが、「業種別支援の着眼点」でもあります。
もちろん、個別組織でも、量をカバーするため、様々な工夫(専任部隊の創設、事業者様へのDM、金融機関への対話ツール提供等)を行うことが大切です。
メディアの方々には、今、誰に何を伝えなければならないのか(タイミングとメッセージ)をお願いしたいです。
信用保証協会の顧客の多くは小規模事業者です。支援を行なっていく中で、債権カット等の抜本再生を想定することもありますが、小規模事業者の方にはあらゆる面でハードルが高すぎて、現実的ではないです。
資金ぐりを安定させることとPL改善、これによって事業継続を支援する。コロナ後、複雑化する環境の中での小規模事業者の方への支援はこの対応が中心というか、これしかないんじゃないかと思います。
当然、信用保証協会のPL改善支援は、先進協会を除いてまだまだこれから。だから地域の中小企業支援を使命とするあらゆる機関との連携によって行う。
今求められているのは、そういった支援だと思います。
初めて投稿いたします。信用保証協会をはじめとする経営支援に携わる皆さんの献身的な努力を拝読し、心から感銘を受けました。
地域総力を結集した取り組みを通じて、事業者のPL改善や経営状態の向上に奮闘していることがリアルに伝わってきました。
しかし、これらの重要な活動が十分にメディアに取り上げられていないことは残念です。特に、日経などの報道機関には、経営支援の現場のリアリティとその価値をもっとフォーカスして報じてほしいと思います。
また、私自身感じているのですが、コロナ禍を経験して明らかになったのは、過去の経験則(元銀行員の経験と知見とプライド)が、今の変化の激しい時代では通用しないということがわかりました。今は、これまでにない新しい課題に対応する柔軟性と創造力が求められていることが皆さまの投稿で気付けました。
今後は多胡さま、そして皆さまに学びたいと思います。
経営支援とは、1、赤字体質の黒字化 2.経営者、幹部の人心掌握、3、単年度の姿、ビジョンの構築であり、事業再生(債権カット抜本再生)の前に、やるべきことがあることを、日経記事には泥臭く踏み込んでほしかった。
実際の現場では、「事業再生(抜本型」の前に、百社百様に対応する「オーダメイドの経営支援」を地域総力戦で実践することが、求められている。ごく一部の企業への事業再生(抜本型)ありきではなく。
事業再生とは、広義の経営支援の一環でかつヒトの再生であると考える。
企業も人間と同じで良い時も悪い時もある、中小企業だからこそそこで働くヒトとの対話から、経営支援の打開策を積み重ねていき、時間軸をかけて、取引先と目線を合わせた活動継続が財務(PL、CF.BS)改善として成果となる。そこをファイナンスで支えていくことが地域金融機関の本業(ミッション)ではないだろうか。