安禅不必須山水(安禅は必ずしも山水をもちいず)、滅却心頭火自涼(心頭を滅却すれば 火も自ずから涼し)
この言葉で知られる快川国師が、織田軍の甲斐侵攻の際に住職を務めた恵林寺は武田信玄の菩提寺です。
今年は武田信玄の生誕500年ですが、月刊誌「致知」の最新号に、恵林寺の古川周賢住職による論考「修養の人・武田信玄に学ぶ〜乱世を生き抜く指導者の条件」があります。
このなかで、「信玄公は非常に臆病」、「勇敢さと臆病さ、その一見相反する性質をバランスよく兼ね備えていた」という箇所がとても印象に残りました。
武田信玄といえば風林火山ですが、ワタシには原典となった孫子の兵法の当該箇所からは「臆病さ」を感じられません(それを内包するものがあるのかもしれませんが)。
信玄公の風林火山の旗の影に「臆病さ」があるとなると感慨深いものがあります。
かつてワタシが地域金融・中小企業金融の世界に足を踏み入れて間もない頃に、師と仰いだ井須孝誠(当時の稚内信用金庫・理事長)さんが、自身の性格を「臆病である」と分析したことが思い出されます。
乱世を生き抜くリーダーの条件は勇敢さと臆病さのバランス、
信玄公からの含蓄のあるメッセージです。