「リレバンをやっても儲からない」
この15年間、地域金融機関の中に根強くある意見です。声が大きくなったり、小さくなったりしますが、最近ボリュームが上がっているように感じます。
最近は行政サイドからもこれに類する声が聞こえてきます。
2018金融行政方針にも「地域金融機関の経営者が、自らに適したビジネスモデルとは何か、真剣に検討することが重要である。」と書いてありますが、「リレバンをやれ」とは記載されていません。
このことに文句を言うつもりはありません。リレバンでなくても他に方法がある“かもしれない”からです。あくまでも「かもしれない」です。
ワタシは金融庁のさまざまな会議で「地域金融機関はリレバンをやるべし」と壊れたレコードのように、繰り返し主張し続けています。違和感を持っている人もいるでしょうが、ワタシは旗を降ろすつもりはありません。
地域金融機関の経営理念と合致するのはリレバンであり、それは当然、顧客本位であり、持続可能なビジネスモデルだからです。持続可能というのは当然収益がついてくるという意味です。
つまり、リレバン懐疑派がおっしゃる「儲からない」という点も、中長期観点からは当てはまりません。
さらに、儲からないという金融機関の人たちにはリレバンの本気度が感じられません。収益として見えるまでの時間軸を受け入れられず途中で息切れしています。なんちゃってリレバンで終わっているのです。
一方、
リレバンの対局にあるトラバンで短期的に利益が上がったとしても、それは長続きはしません。
たとえば、プロダクトアウトの物売りで短期的な収益が上がっても、ノルマ営業に拍車がかかり、現場が疲弊し、場合によっては不正が横行し、ヒューマンアセットが崩壊します。
また、この業務自体がAIフィンテックの台頭で銀行のコスト体系では近い将来、競争力がなくなります。
いずれにしても、未来図は描けません。
★★★
「経営理念に合致して、顧客本位で、持続可能で、顧客と共通価値の創造ができるビジネスモデルが、他にあったら教えてください」
この数年 (というよりはリレバンの議論が始まった15年前から) 、ワタシが言い続けていることですが、「なるほどその手があるか」と思うようなものを見せていただいたことがありません。
それがあれば、ワタシはすぐに旗を降ろして、さっさとそちらに乗っかります。
さて、
6月にトップが交代し、業務改善命令を受けた福島銀行の新中期経営計画が発表されました。
遅まきながらコツコツとリレバン活動を始めていた矢先にトップが辞任したこの銀行が、新経営陣のもとで、どのように“業務改善”を行うのか、非常に興味深いところです。
新聞内容を見る限りですが、トランザクションバンキングのプロダクトアウト。ワタシの描く地域金融機関のあるべきビジネスモデルとはまったく重なりません。
これで業務改善???
経営理念に合致、顧客本位、持続可能 (収益面も) という視点で、この銀行の今後の展開を注視したいと思います。