本日の日経東北版に、東北銀行との経営統合の合意を解消したフィデアHDの田尾社長のインタビュー記事が掲載されています。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO80420540U2A220C2L01000/
~本部機能を集約する「オープンプラットフォーム」のように「中央集権型」が効率性に資するのは理解できますが、地域性を失いませんか。
との質問に対する田尾さんの回答はワタシの考え方とは違うものでした。
~「今は地方銀行を巡る環境は非常に厳しい。人口減少や低金利環境、そして異業種も参入してくる。そこに新型コロナウイルス禍もある。こういう利益が上がりにくい環境下では、やはりコスト削減も含めてフィデアがグリップを利かせて組織を効率化する必要がある」(記事より)
バックヤードについては思い切ったコスト削減も含めた効率化への踏み込みが必要なのはいうまでもありませんが、コロナ禍の今、強化すべきは地域特性に則った顧客接点であり、過度な効率化が適合するとは思えません。
この記事には記者のコメント欄が付随しています。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO80420620U2A220C2L01000/
~「日本一の地銀をつくってやる」。荘内銀行の過去の記事を読み返すと、ある頭取の言葉が目に止まる。富士銀行(現みずほ銀行)出身で1995年から13年間頭取を務めた町田睿氏だ。富士銀の去り際の捨てぜりふは今も語り継がれている。「銀行の論理ではなく、客のいるところに出ていかなくては」と商業施設内に店舗を置くインストアブランチを始めた。当時としては画期的な実績だ。(記事より)
「事業性金融のリレバン強化こそが地域金融機関の生き残り策だ」、
と訴え続けてきたワタシですが、当時、町田さんが個人金融に大きく舵を切るのを見て、「自分とは考え方は違うが、県内に3つの地銀が競合するなかで、これも一つの特化戦略だ」と思っていました。
顧客特性を踏まえて特定分野に資源を投入するのは当然であり、オールラウンド・プレイヤーを余儀なくされる地域トップバンクにはできないアドバンテージです。
町田さんがフィデアHDの会長として秋田に駐在して、地元経済社会に存在感を示していたときに、秋田で2時間にわたり相対でお話したことがあります。
秋田における町田さんは個人金融以上に事業性リレバンの人でした。
町田さんの地銀経営はまさに日経記事にある通り、
「銀行の論理ではなく、客のいるところに出ていかなくては」
というもの。個人であっても法人であっても、、、
秋田でお目にかかった翌年、町田さんは鬼籍に入られました。