5月2日の米債券市場で長期金利の指標・10年物国債利回りが上昇(価格は下落)し、一時2018年12月以来、およそ3年半ぶりに3%台を付けました。
3年半前は、その後米国金利は下降トレンドに転じ、債券価格は上昇したものの、今回のスタグフレーションのもとでは、今後の金利低下を望むのはかなり難しいと思います。
先週も海外金利の泥沼にハマった地域金融機関のある幹部から相談があり、4月1日の旅芸人ブログ「熟知したリスク、頑張れば減らせるリスクに」で書いた内容の説明をしました。
該当部分は以下の通りです。
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「一朝一夕にはできないけど、よく分からない海外金利リスク等ではなく、皆さんが熟知したリスク、皆さんが頑張れば減らせるリスクに“徐々に”シフトしませんか‼️」
と切り出してみました。
「地元の信用リスク」です。
この金融機関の経営改善/事業再生支援を含む組織的継続的リレバンの取り組みは全国的にもトップクラスです。(←ワタシの評価です)
話を聞いてみると、リレバン能力が高い割には、まだまだ地元での与信リスクを十分に取り切れていないようです。
競合金融機関も手堅いスタンスなので、この地域のいわゆるミドルリスク層には大きな空白地帯があります。
これだったら、イケると思いました。
有価証券運用ポートフォリオの含み益は底が見えていますが、さらには評価損に転落するかもしれませんが、評価損となっても、もう一つの大きなバッファ(↓)で吸収することが十分可能です。
手堅い融資姿勢のおかげで積み上げてきた「手厚い貸倒引当金」です。
経営改善/事業再生支援を粛々と全員運動で進めていけば、貸倒れに対する備えもそこまで強固にする必要はないでしょう、、、金融検査マニュアルもないし、ポイントは監査法人ですかねぇ。
と、話が弾みました。
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先月のブログ「悲願でした」「(続)悲願でした」で取り上げた北國FHDのように貸倒引当金の算定基準を改定することができれば、従来の基準で積み立てた引当金を繰り戻して、それを有価証券運用の含み損に充当することは可能だと考えています。
ポスト金融検査マニュアルに対応した融資ディスカッションペーパーにも次のような記述があります。
「実効的な再生支援態勢を整備し、信用状態が悪化した貸出先についても、できる限り融資取引関係を維持して支援する方針の金融機関では、当該支援による事業継続可能性も勘案して、引当を見積もることが考えられる」(p33〔BOX3〕)
ただし、このわざは組織的継続的リレバンでお客様に対する真の伴走支援をしている場合に限りますので念のため。
リレバン軽視の金融機関から、「有価証券運用のやられをどうしたら良いか」とのご相談を受けても、ワタシには処方箋は出せませんので、悪しからず。