金融検査マニュアルの廃止や、さまざまな規制緩和により、いまや地域金融機関は「誰から決める金融」から卒業し(←今秋のジンテックセミナーのテーマです)、
地域性や競争/協調環境などを踏まえた上で「自らが決める金融」を推し進めることができるようになりました。
しかるに、多くの地域金融機関の現場の現状を見ると、リスクは取らない、リスクは顧客に押しつける、志を失い、易きに流れ、考えることをしなくなっています。そうなってしまったのは、ひとえに経営に責任があります。
いま地域金融機関に求められるのは、「ヒューマンアセット」と「リレーションシップキャピタル」の再構築です。
これらなくして、健全性を維持しつつ、持続的に適正収益を生み出せるバランスシートを創り上げることはできません。
課題解決、本業支援、コンサルティングと格好良いワードを並べても、貸し手の優越的地位がチラつくプッシュ型では砂上の楼閣。信頼関係なくして、お客さまから真の意味で相談されることはありません。
従業員とお客さま。
このことを稲盛経営12ヶ条から、改めて学びました。
【第7条】
経営とは、経営者の「意志」が現れたものだと考えます。こうありたいと思ったら、何が何でも、その目標を実現しようとする、強烈な意志が必要です。そのとき大切なことは、従業員の共感を得ることです。もともと、経営目標は経営者の意志から生まれるものですが、同時にその目標が、従業員全員が「やろう」と思うようなものにする。いわば、経営目標という経営者の意志を、全従業員の意志に変えることが必要です。
【第11条】
思いやりは、「利他の心」とも言い換えられます。つまり、自分の利益だけを考えるのではなく、自己犠牲を払ってでも相手に尽くそうという、美しい心のことです。ビジネスの世界においても、この心が一番大切です。「情けは人のためならず」というように、思いやりは巡り巡って自分に返ってきます。相手を大切にし、思いやる「利他」の行為は、自分たちが損をするように見えても、長いスパンで見れば、必ずすばらしい成果をもたらしてくれるのです。
https://www.kyocera.co.jp/inamori/management/twelve/twelve11.html
コメント
課題解決、本業支援、コンサルティングと格好良いワードをこぞって金融機関は並べ立てていますが、今までそのような人材を育成してこなかったのに現状如何ほどのことができるのかと危惧しています。
結局のところプロダクトアウト的な営業と時節柄補助金申請サポートセールスくらいしかできていないと思います。
しかし、今本気でコンサルを出来る人材育成にスタートを切った金融機関は、5年後10年後にそうでない金融機関との競争力の差は歴然としたものになると思いますので、是非出身行にもそうして欲しいと思いますが・・・。
ただ、金融機関にとっての究極のコンサルは、再生支援に尽きるのではないかとも思っています。いくら調子のいい時に成長支援成長支援と言っていても、少し傾きかけたらおっかなびっくりの対応では顧客との本当のリレーションは確立できないと思います。
再生支援を本気でやり切って、それでも不幸なことに倒産となる場合でも、経営者従業員のことを考えて最後まで手を携える、そんな本気のコンサルが出来たら新規取引開拓営業なんて必要なくなるでしょう。
お客様の方から「そんな銀行に是非支えてもらいたい」と取引の要請があるはずです。そんな銀行にするのが夢だったんですが・・・(笑)