10月29日日経朝刊、三井住友信託銀行の高橋温さんの私の履歴書(28)は、社外取締役の話でした。
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20231029&ng=DGKKZO75639870X21C23A0BC8000
ワタシなりに響いた箇所を抜書きします。
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~(取締役会の)基本的役割は、社長の選解任、経営戦略、内部統制、業績評価等の決定に対するモニタリング(監視)である。
~CEO(最高経営責任者)選びに際した社外取締役の自覚と見識は重大となる。
~(CEOに)問われるのは会社の社会的存在意義を常にアップデートする「構想力」であり、新たな市場と顧客の開拓に挑戦する「志」であり、その思いをステークホルダーに訴求する「発信力」であろう。
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いくつかの金融機関で社外取の仕事をする中でトップの選任に関わったことがあるのですが、幸いなことに解任の議論をすることにはなりませんでした。
考え方や具体的な施策に全面的に同意ができるわけではなかったものの、トップの本気度は認めていたからです。
2日のブログ、「トップの力量と本気度」で、
「トップにまったく本気度が見られず、暖簾に腕押し」状態であったら、いくら最強の社外取で固めても限界がある、と書きました↓
トップが「構想力」も「志」も「発信力」もないのなら、
そうなると、社外取の仕事は「トップの解任」
高橋さんの“私の履歴書”を読みながら、こんな思いになりました。
コメント
(CEOに)問われるのは会社の社会的存在意義を常にアップデートする「構想力」であり、新たな市場と顧客の開拓に挑戦する「志」であり、その思いをステークホルダーに訴求する「発信力」であろう。
まさにその通りだと思います。CEOがこの役割を果たすことで、企業が形成する付加価値が増大し結果として利益水準が向上していくのですが、こうした役割を果たせないトップは効率化に邁進し利益水準を上げようとします。
そうした行為は、一時的には結果を残せるでしょうが、その行為はマーケットに提供する付加価値を削減し従業員をはじめとするステークホルダーのフラストレーションを増大させるので限界があるとともに永続的な成長は望めません。
たまたま、先日アメリカより訪問されていたAIの専門家の工学博士と話をしていた時に、「AIやGDPを生産性向上に使うのか、効率化に使うのか」の議論をしました。
彼が日本の雑誌にも投稿した話ですが、「生産性と効率化は分数の分子と分母の関係になぞらえられる。つまり生産性を上げるということはIT技術を駆使して分子を増大化させることであるのに対し、効率化を促進するというのは分子をどれだけ小さくするかであり、IT技術の導入でどれだけ人件費を圧縮するかに繋がり企業の永続的な発展に繋がらない」というものでした。
何か相通ずるものがあるような気がしましたので投稿させてもらいました。