2月4日、NHK札幌放送局が放映した北門信用金庫の企業再生の取り組みは、ワタシの周りの多くの人たちの共感を得ました。
それは伊藤貢作さんの活動が「人としての温もり」に包まれていると感じたからではないかと思っています。
人情の機微に触れた企業再生支援は、人の心を打つ物語を生み出します。
一方、「人情の機微に通じないこと」を「野暮(やぼ)」と言います。
プライド高く、ええかっこしいの地域銀行の行員は野暮と後ろ指さされるのは片腹痛いでしょうが、彼らによるコロナ禍の中小小規模事業者への経営改善支援/事業再生支援の実態は、野暮以下としかいいようがありません。
彼らは恥ずかしいという感覚も麻痺している、裸の王様です。
「こうはなりたくない」
心ある従業員たちの流出は止まりそうもありません。ヒューマンアセットの崩壊はますます加速するでしょう。
先日、知人から「S&Pグローバル ESGスコア」について教えてもらいましたが、金融機関評価に際しての「S」項目で一番配点が高いのは「人的資源開発」なのだそうです。
ドイツ銀行の50数ページにわたるHuman Resources Report 2019に目を通したのですが、海外の銀行では人的資本についての情報開示がどんどん進んでいます。
邦銀も例外ではありません。
三井住友トラスト・ホールディングスのサステナビリティレポートを見たのですが、「人」のところにかなりのページを割いています。
ヒューマンアセットとリレーションシップキャピタルが労働集約型の地域金融には必須であるにもかかわらず、地域銀行がこの点で後塵を拝していることは大きな問題です。
コメント
「なぜヒューマンアセットなのか」が問題の核心です。私の仮説では「行動変容を伴うから」です。行動変容はまさに「適応」そのもの。良きヒューマンアセットは、新しい変革を学び、挑戦する人たちを生み出しますし、そうした挑戦者をリスペクトします。イノベーションのジレンマを乗り越え、両利き経営になるための必須条件です。変化に適応するということは、持続可能性において極めて有利です。ESGに合致する。そういうことだと思います。今まで金融行政でも、事業性評価でも一切、そうした視点はありませんでしたよね。目先の計測しやすい数字だけで、すべてを理解したつもりになること程、愚かなことはありません。